社会福祉施設経営者同友会  〒543-0045 大阪市天王寺区寺田町2-5-6-902 電話 06−6772−1360  Fax 06-6772-1376

直言

◇福祉同友会の主張や会員からの声の広場です。◇

 憲法を守り、平和と真の社会福祉を守るために~総選挙での奮闘を訴えます

2017年10月7日

社会福祉施設経営者同友会

会長  茨木 範宏

 開会してわずか100秒で衆議院が冒頭解散になりました。一連の国政私物化疑惑で、野党が憲法53条にもとづき臨時国会の召集を要求してから3カ月、森友・加計疑惑隠しと言われても仕方のない憲法違反の暴挙です。安倍首相は満州事変のころにしきりと使われた戦時体制に国民を総動員する「国難突破」ということばで解散を語りましたが、本当の国難は、憲法をないがしろにして、安全保障法制をはじめとする「海外で戦争する国づくり」にむけて暴走する安倍政権そのものです。さらに、さらなる北朝鮮への圧力で不安をあおりながら、国内ではアベノミクスで富裕層と大企業に大もうけさせ、一方で貧困と格差の進行は歯止めなく進み、その穴埋めを社会福祉法人をはじめとする「地域住民等」でささえあう「自助・共助の福祉」ですすめようとしています。この総選挙は、この戦後最悪の安倍政治をストップさせる大きなチャンスです。
 しかし、この間の政治状況は一見複雑な様相を見せています。安保法制を容認し、憲法改正を目的とする希望の党の立ち上げ、さらに民進党の合流と解体、リベラルの選別・排除など、この間発展した「市民と野党の共闘」という、平和と民主主義を守り実現する動きへの逆流が進み、このままいくと「国難突破」の時代のような翼賛体制づくりが進むのではないかという、とても危険な状況が生まれています。しかし「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の運動をはじめ、一度生まれたこの民主化の流れを押しとどめることはできず、新しく生まれた立憲民主党をはじめ、あらためて「市民と野党の共闘」が再構築されていることに大きな確信をもちます。
 福祉同友会は、あくまでも憲法にもとづく人権尊重の社会保障・社会福祉を実現するために日々の社会福祉事業を行っています。これからのこの国のあり方、平和と民主主義、社会福祉の未来に命運をにぎる大変重要な選挙です。あらためて、この状況のなか各施設・事業所・地域において、利用者、職員、ご家族などに広く訴え、この共闘に連帯しとりくまれるよう訴えます。共に奮闘努力しましょう。

 地域包括ケアシステム強化法案の参院厚生労働委員会可決に抗議します。~国は憲法25条にもとづく公的責任をはたし社会福祉を充実させよ~

2017年5月26日

社会福祉施設経営者同友会

会長  茨木 範宏

 昨日、参議院厚生労働委員会で、安倍内閣が提出した「地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」が、自民党・公明党・日本維新の会などの賛成多数で可決されました。強行採決された衆議院でも22時間の審議だったのに対し、参議院ではわずか16時間で審議が打ち切られました。とうてい審議が尽くされた状況ではないにもかかわらず、社会保障・社会福祉のあり方について大変重要な意味をもつ法案が可決されたことに強く抗議します。

 まず、この法案は2015年に介護保険の自己負担割合を2割に引き上げた影響調査の結果も出ないままに、一定所得のある人への3割負担に踏み切り、国庫負担を減らす一方で、要介護者や家族にさらなる負担を強いるもので、決して容認できないものです。

 さらに、「我が事・丸ごと」地域共生社会という改革工程の中にこの法案を位置づけ、市町村による地域住民と協働の地域福祉計画の策定と努力義務、高齢者と障害児者が同じ事業所でサービスを受ける新たな共生型サービスの実施などが含まれ、介護保険法だけでなく社会福祉法、児童福祉法など31の法改正を含む内容となっています。

 社会福祉法の改正案では、社会福祉法人などの社会福祉事業を行う者と地域住民を「地域住民等」と一つにくくり、「福祉サービスを必要とする人たちが孤立しないよう、『地域住民等』が支援する」ことを求めています。住民どうしが支えあい助け合う地域共生社会と、聞こえはいいのですが、その本質は公的責任を限りなく後退させ、自己責任である「自助」と、住民どうしの「互助」で、政治の失敗で生み出された貧困や生活困窮者への支援を行うものです。誰もの人権と尊厳が平等に守られる社会保障とは、まったく違うものといえます。

 いま社会福祉の現場では、たび重なる報酬改定や補助金削減などにより、事業経営の困難さがきわだちます。さらに福祉人材不足による支援現場の困難さも社会問題となっています。この法案は、それに輪をかけて福祉現場の経営と労働を圧迫するものです。この間の森友学園・加計学園問題などで、政権が国の財産を私物化し一部のものに不正に売却するなど、その横暴は目に余るものがあります。いま政権がしなければならないのは、憲法25条にもとづき、国の責任で社会保障・社会福祉を充実させ、国民の幸せと豊かな暮らしをつくることです。

 私たちは、この憲法25条に明記された公的責任にもとづく社会福祉を担う主体者として、この採決を許さず、あらゆる分野の方々と共同をすすめ、徹底した審議をして廃案を求めるものです。

 国の責任を丸投げする「地域包括ケアシステム強化法案」の突然の強行採決に強く抗議します~

2017年4月13日

社会福祉施設経営者同友会

会長  茨木 範宏

 昨日、衆議院厚生労働委員会で、安倍内閣が出した「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」が、わずか20時間の審議で、突然に自民・公明・維新により強行採決されました。その理由は、民進党からの森友問題についての首相への質問にたいし、自民党が「信頼が壊された」として急に質疑を打ち切り、採決を強行したもので前代未聞の暴挙です。
 この法案は、介護保険制度で一定所得のある人への自己負担割合を3割に引き上げるなど、今でも保険料あって介護なしといわれる制度の窓口を、負担増や給付抑制でさらにしめ出すのではないかと問題が指摘されている制度改悪です。
 しかも、介護保険法だけではなく、社会福祉法や障害者総合支援法をはじめ、30本あまりの法改正をふくむ、これからのこの国の社会保障・社会福祉にかかわり徹底した審議が求められる、たいへん重要な法案です。それが森友問題などにフタをする一方で、一括して強行するなど、それこそ信じられない採決であり、まず、私たちはこの民主主義を無視した暴走に強く抗議するものです。
 とくに法案では「地域包括ケアシステムの深化・推進」を柱に、「地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進」をあげ、市町村による地域住民と協働の地域福祉計画の策定と努力義務、高齢者と障害児者が同一事業所でサービスを受ける新たな共生型サービスの実施などがふくまれています。これは、いま政府がすすめる「我が事・丸ごと」地域共生社会の実現という政策の中心に位置し、社会福祉法の改正案では、社会福祉法人などの社会福祉事業を行う者と地域住民を「地域住民等」と一つにくくり、「福祉サービスを必要とする人たちが孤立しないよう、地域住民等が支援する」ことを求めています。ここには公的責任のかけらもなく、「互助」を社会保障の柱にするというとんでもない法案です。
 安倍政権は、貧困と格差の進行や、医療・福祉の負担増、給付抑制による福祉サービスからの排除をすすめながら、そうして生み出される支援を必要とする人への対策を、「我が事・丸ごと」地域共生社会として、一億総活躍による活躍(自助・自立)を促し、すべての住民どうしのささえあい助け合い(互助)を促す、それがこの法案の本質で、公的責任のもと、誰もの人権と尊厳が守られる社会保障とは、まったく違う方向をむいているのは明らかです。
 私たちは、この強行採決を許さず、あらゆる分野の方々との共同をすすめ、徹底した審議で廃案を求めるとともに、憲法にもとづく真の社会福祉事業のあり方を現場から発信し続けることを表明します。

 新年を迎えて~したたかにしぶとく社会福祉法人の存在意義の発揮を~

2017年1月1日

社会福祉施設経営者同友会

会長  茨木 範宏

 福祉同友会会員のみなさん、共同の関係者のみなさん、あけましておめでとうございます。昨年は福祉同友会の活動への積極的な参画をいただき本当にありがとうございました。

 昨年末に「この世界の片隅に」というアニメーション映画を観ました。戦争前後の呉・広島で暮らす普通の家族と、そのまわりの人たちの日常を淡々と描きながら、日常の中に戦争が割り込んできて、その戦争が日常になっていく様子を、温かく、哀しく、そして愛しいまでに描写した映画で、のんさん(あまちゃんの能年玲奈さん)の声が主人公のすずさんに生命を吹き込み秀逸でした。口コミも相まって全国で上映館が増えているそうで本当に多くの人に見てほしいと思いました。3.11のあと、幸せとは当たり前に昨日のように今日があって明日に続くことだと思い知らされました。しかし、今の時代は決してそれを許さない不安に満ちています。
 戦争法成立から1年を経過し、自衛隊は南スーダンで駆け付け警護の名のもとに命を失う、命を奪う危険に直面しています。沖縄ではオスプレイ墜落という事実を突きつけられても、政府は東村高江で強権による工事を進め、あろうことか反対する住民が拘束されています。さらに辺野古でも10カ月ぶりに工事が再開され、再び数百個のコンクリートブロックが海中投下されようとしています。
 私たちのフィールドである社会保障・社会福祉では、財政健全化を名目に、社会保障費の圧縮・削減を目的とした目を覆うばかりの医療・介護での負担増と給付削減が進められています。「保育所落ちた日本死ね」が発端で政府が手を打たざるを得なかった待機児解消や保育士の処遇改善は、望まれる方向ではなく規制緩和や市場化を進める方向で利用されています。そういう中で出された「我が事・丸ごと」地域共生社会の実現という方向は、住民が地域がささえあい助け合う「福祉」がこれからのこの国の社会保障だとしており、政権にとっては「他人事」でしかない政策です。このように国民の暮らしを守りささえるはずの政治が、逆に暮らしを脅かすという考えられない事態が進んでいます。
 私たちはまずこの状況に対し、憲法を守ることを前面に押し出し、昨日のようにあたりまえに今日が明日が続く、そんな日常をつくるため、発信し、共同し、社会福祉の現場からとりくまなければならないと考えます。

 社会福祉法人制度改革は、いよいよこの四月から全面施行されます。各法人では新定款への変更や役員・評議員の選任などあわただしい年の瀬だったと思いますが、これからさらにタイトなスケジュールで制度改革への対応が求められます。もちろん、しっかり対応することは必須ですが、やはりこの制度改革が、無料で低額なサービスの責務化や、社会福祉充実財産の算定による再投下の義務化、さらには企業原則を非営利法人にあてはめ組織運営・財政・事業を縛るという民間社会福祉経営の最大の危機であることをしっかりととらえ対抗していくことが必要です。

 昨年、福祉同友会では、社会福祉法人制度改革に対抗する連続研究会をはじめ、共同で社会福祉事業のあり方セミナーを開催するなど学習・研究を強めるとともに、退職共済公費助成廃止に対し、(独)福祉医療機構との懇談や、全国経営懇とも連帯し記者会見やアピールなど積極的にとりくみました。また5月12日に日比谷野音で開催された「福祉は権利」共同集会でも経営者代表として発言するなど、福祉を守れの共同のとりくみを前進させてきました。また2015年に続いて沖縄支援ツアーを敢行、東村高江や伊江島、辺野古など今の沖縄を直に感じとらえ支援する活動をすすめました。辺野古には「社会福祉施設経営者同友会」のノボリがはためき、後日訪れた元福祉同友会事務局のUさんが誰か来ているのかとびっくりされたそうです。
 2017年も社会福祉事業変質の動きに対抗し、組織を強化し、共同を強め、実績を積み上げ、まわりの方がたの理解と共感を得ながら、地域を主戦場に、社会福祉法人の公的責任を身をもって実現する担い手であるという存在意義を守り追求するための活動をさらに幅広くすすめていきたいと思います。また「平和なくして福祉なし」をかかげ、沖縄をはじめとしたさまざまなたたかいに連帯していきます。

 名前のせいか勝手に近しく思っている詩人の茨木のり子さんの詩です。

ひとりの人間の真摯な仕事は 
おもいもかけない遠いところで 
小さな小さな渦巻きをつくる

 そんな渦巻きを無数につくり、国民の人権を奪うことに何の負い目もなく葛藤も感じない現政権から、自由と民主主義を願う国民の手に政治を取り戻すことが本当に重要な時です。そのための共同をさらに広げることが福祉同友会の役割だと肝に銘じ、この一年進む覚悟です。みなさんの引き続きの活動参画とご協力をお願いし、新年のあいさつといたします。

 障害者入所施設で起きた事件をうけて~黙っていてはいけない、負けるわけにはいかない~

2016年8月5日

社会福祉施設経営者同友会

会長  茨木 範宏

 7月26日、神奈川県相模原市の障害者入所施設で起きた事件は、障害当事者はもちろんのこと、ご家族や福祉現場で働くものたちに大きな衝撃を与えました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、心身ともに負傷された方々の回復を心から願います。
 報道では、容疑者の男性の異常な言動や行動がクローズアップされ、薬物の影響や精神疾患とのかかわりも取りざたされています。その解明はこれからとしても、決してその行為は許されるものではありません。二度とこのような痛ましい事件が起きないため、関係機関は、その背景や真相の究明に全力をあげていただくことをお願いします。

 一方で、「障害者はいなくなればいい」という容疑者の言葉が報道で何度も流され、ネット上でもそれに賛同するような発言が繰り返される状況もあります。また、精神障害者の犯罪について、措置入院のあり方について、福祉施設の管理についてなど、安全性を徹底するという名のもとに、強い規制がすすめられるのではないかという危惧をもちます。
 いまこの国では、強いものと弱いものの格差が進行し、労働への不満、疲労、将来への絶望というマイナスの感情を、自分より弱いと思える人にぶつけることで憂さををはらし、納得してしまう風潮が広がっています。自分と考え方の違う人、異を唱える人を暴力で排除することを許すことは、沖縄で繰り広げられる基地建設に反対する人への国家の横暴と根は同じです。権力の横暴は人間の横暴を助長するだけです。
 そして新自由主義のもとで、すべてが自己責任とされ、経済活動最優先の社会で、生産性の有る無しで人の価値が判断される考えと、それを推進する政治の有りようが、背景にあるのではないでしょうか。

 私たちが黙っていることは、それを黙認することになります。意味のない命などどこにもありません。奪われていい命などどこにもありません。社会福祉はそれを体現する現場です。凶行に及んだ人間を生んだ社会病理の進行に立ち向かい、社会福祉の現場から、誰の命も粗末にさせない社会に変える強い意志を示すときです。
 私たちは黙っていてはいけない、負けるわけにはいかない。

 待機児問題の根本解決と保育園職員の処遇改善、退職金共済制度の維持発展を求める緊急アピール

2016年6月27日

 私たちは認可保育園を経営する社会福祉法人の理事長です。

 「保育園落ちたの私!」「認可保育園を増やして」との切実な訴えや、「保育園職員の給料を上げて!」「保育士の過密労働をなんとかして!」との声が大きな社会問題になっています。保育園経営に責任を負っている私たちは、「その通り、私たちもそうしたい!」と痛切に感じています。
 保育園職員の処遇は、その基準を決めている国に、大きな責任があります。

 ところが、2016年3月31日に成立した改正社会福祉法によって、退職金共済制度の改悪がおこなわれ、保育所職員に対する公費助成の取り扱いについては「2017年(平成29年)度までに検討し結論」とされました。
 社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、長年に渡って社会福祉法人職員の正規雇用を保障する施策としても役立ってきました。ところが2006年4月1日から社会福祉法一部改正によって、介護施設職員が公費助成の対象から外され、2016年4月1日から障害施設職員についても新規加入者への公費助成が廃止されました。
 私たちの中には介護や障害関係の事業を実施している法人もあり、職員処遇を巡って苦渋の選択を迫られています。この上、保育においても廃止になれば、職員処遇の改善どころか改悪が促進され、退職金共済制度そのものの崩壊につながりかねません。

 保育園は今必死になって、社会の格差と貧困の拡大から幼い子どもたちを守っています。大人たちからゆとりが奪われ不安が増大することで、子どもたちの育ちが悪影響を受けています。「配慮を必要とする」子どもと保護者が増え、その状況は深刻さを増しています。
 2015年からはじまった「子ども・子育て支援新制度」で、事務量が膨大になり、園長は夜間・休日も管理運営の事務仕事に追われ、職員は子どもたちのために体力・気力の限界も省みず一生懸命頑張っています。「職員を増やしたい」「事業を拡大して待機児童の受け入れなど、もっともっと地域の要求に応えたい」「職員が子どもと離れて保育準備する時間を保障したい」「賃金を上げたい」と私たち経営者も園長もみんなそう思っています。

 首も座らないうちから通ってくる産後休暇明けの子どもたち。寝返りができるともう隣のお友だちと微笑みを交わし、お座りや抱っこで絵本に見入り、1歳でしっかりスプーンをにぎってお友だちと楽しい給食、イヤイヤが保障されて確立する2歳の自我、3歳・4歳・5歳と自身の成長につれて友だちとのかかわりもダイナミックになり、乳児期から就学前まで、まさに「子どもの権利条約」や「児童憲章」に謳う子どもの姿がそこにあるのが保育園です。

 私たちは、いきいきと育つ子どもたち、保育事業に献身する職員たち、その子どもや職員と共に育つ保護者と地域の姿に魅せられて理事長に就任しました。今日まで法人を代表する役割を担ってきたのは、保育園の充実が今後の社会と地域の発展に欠かせないと誇りに思うからです。

 私たちは、保育園の社会的使命と社会福祉法人の理念にそって経営に責任を負い、子どもの生命と人権を守るために長年努力してきた立場から、下記のことを強く要望します。

1、 国は、保育所職員の算定給与水準を抜本的に見直し、一般労働者の平均賃金が支払えるよう、公定価格を組みなおすこと。

2、 国は、保育所の保育士配置基準を直ちに見直し、週40時間労働、労働時間内に計画立案・教材準備・記録・会議・総括等、保育(養護と教育)の専門性を保障する時間を組み込んだものにすること。

3、 退職金共済制度への公費助成を維持し、保育園職員だけではなく、社会福祉法人職員の全職種への公費助成を復活すること。

4、 保育所待機児童の解消は、認可保育所の増設によって行い、いつでもだれでも安心して子どもが生み育てられるようにすること。

浅雛みね子 (福)新よどがわ理事長 
安達克郎  (福)西淀川福祉会理事長
飯田光代  (福)野の花福祉会理事長
石井 守  (福)つむぎ福祉会理事長
井関政勝  (福)城東福祉会理事長
井上宣行  (福)鴻池ポッポ福祉会理事長
岩崎敏子  (福)こばと会理事長
太田 潔  (福)むくの会理事長
岡本裕宏  (福)ひまわり会理事長
小澤 力  (福)西成若草会理事長
大庭富江  (福)福育会理事長
門 晶子  (福)さざんか福祉会理事長
梶本利一  (福)誠会理事長
楠田るみ  (福)大阪あゆみ福祉会理事長
河野直明  (福)コスモス理事長
芝田宇佐男 (福)まりも会理事長
清水富美子 (福)しろきた福祉会理事長
乕田喜代隆 (福)ピヨピヨ福祉会理事長
永井貴美子 (福)わたぼうし福祉会理事長
西村英一郎 (福)どんぐり福祉会理事長
野々上昭弘 (福)くぬぎ会理事長
春本常雄  (福)ちぐさの森理事長
藤浦修一  (福)あおば福祉会理事長
細貝大二郎 (福)大阪福祉事業財団理事長
真鍋 穣  (福)共同保育の会理事長
増永みさえ (福)朋星会理事長
若月勇一  (福)穂積福祉会理事長
渡邊五十美 (福)さくら福祉会理事長
吉瀬孝子  (福)たんぽぽ福祉会理事長
吉田博司  (福)ちよだ福祉会理事長

 拙速な「社会福祉法等の一部改正法案」の可決に抗議します~人権原理の真の社会福祉を守り育てるために~

2016年3月17日

社会福祉施設経営者同友会

会長  茨木 範宏

 昨年7月に衆議院で可決され、その後継続審議となっていた社会福祉法等の一部改正法案が、3月17日、参議院厚生労働委員会で可決しました。国会審議や参考人陳述、福祉関係者の共同の運動の中で、法案について多くの疑問や不安が出されていたにもかかわらず、4月からの実施に間にあわすため、十分な審議もせずに可決されたことに対し強く抗議します。
 この法案は「社会福祉法人制度改革」と称して、社会福祉法人が莫大な「内部留保」をもっている、不正が蔓延しているなどとした、誤った報道や理解を前提に提案されました。その内容は、すべての社会福祉法人に対して無料・低額のサービスの実施を責務とし、国の責任と予算で行われるべき貧困対策等の社会問題へのとりくみを民間福祉事業者に転嫁するもので、これは人類が永年つくりあげてきた権利としての福祉を、再び戦前の慈善としての事業に戻すものです。
 また障害分野における社会福祉施設等退職手当共済制度への公的助成を廃止し、今でも福祉に働く職員の低賃金が社会的ニュースになり、福祉人材確保が緊急の課題といわれる中、福祉労働者の処遇向上、待遇改善にまったく逆行する内容も含んでいます。
 この法が施行されれば、現在でも利用者・労働者・家族に多くの負担と我慢をしいざるをえない福祉の現場が、さらにその法改正による費用負担も含めて困難をかかえることは明らかです。そして、この法改正の真の目的は、政府が「新三本の矢」で「安心につながる社会保障」などといいながら、実は社会福祉の市場化をさらにすすめ、営利企業の参入を広げ、福祉を成長産業に組み込み、「金儲け」の概念を植えつけようとしているものであり、そのための「公的福祉」の解体です。
 福祉は非営利であってこそ、儲けを目的としないからこそ、利用者・家族・地域に寄りそいながら、その最大の利益を、そして一人ひとりの尊厳を守り育てることが追求できるのです。あらためて私たち福祉同友会は、今回の「社会福祉法等の一部改正法」の可決に抗議するとともに、真の社会福祉を守り広げるためのとりくみを、高齢・障害・保育などの枠組みや、当事者・家族・労働者・経営者等の立場を超えて共同で推し進めていくものです。

 共同の力で新しい大阪をつくるために

2015年11月10日

社会福祉施設経営者同友会

 11月5日(知事選)8日(市長選)告示、22日投票で、大阪のダブル選挙が始まりました。福祉同友会は、「まっとうな大阪の政治」をつくるため、橋下「維新」政治に終止符を打とうと全力をあげている「明るい民主大阪府政をつくる会」と「大阪市をよくする会」に結集して、異論を排除するのではなく、住民の声がちゃんと届く、きちんと議論ができる首長を当選させるため奮闘します。

 ご存じのように、この4年間、「維新政治」が大阪ですすめてきたのは、敬老パスの有料化や住吉市民病院廃止、特養ホーム建設補助削減など福祉と医療の切り捨て、公募区長や君が代押しつけなどの教育破壊、市職員への思想調査や評価制度などの民主主義攻撃、業界や商店街への補助金カットなど中小企業をはじめとした経済の落ち込みなど、市民の暮らしと福祉はむちゃくちゃにされました。
一方でカジノや道頓堀プールなどの開発に力を注ぎ、さらに今年5月には、大阪市破壊の「都構想」をかかげ32億円ものお金をつぎ込み住民投票を実施しました。

「都構想」を争点とした住民投票において、市民は悩んだ末に「NO」の答えを出しました。
橋下市長も「市民は非常に重い判断をされた、何度でもやるものではない1回限り」と殊勝に言っていたのですが、その舌の根も乾かぬうちに再び今回「都構想」をかかげて選挙をすることになりました。まさに民意を無視した強権ぶりです。

 今回私たちは自民党推薦の候補を応援します。戦争法をめぐるたたかいで自公政権へ批判を強めながらなぜという疑問も出されますが、それだけ橋下「維新」政治が行ってきた政治が危険であり、また改憲をねらう安倍政権に最も近いという二重に危険な存在であるということです。
SADLの若者は、党派を超えた共同で維新政治を打ち破った堺市の経験で「選挙後も住民は声をあげ続け、国保料値下げや、大型開発の白紙撤回が実現した。住民が首長を育てる。住民の声を聞き、ともに住みよい大阪をつくってくれる人を選びたい」と語ります。まさに共同の力で独裁政治を終わらせる最高の機会です。

 この選挙はオール大阪のたたかいです。各法人・施設、大変お忙しい時期ではありますが、職員、利用者、家族・保護者、地域に広く訴え、私たちの福祉要求の実現に道を開くことにつながる、民主主義が大切にされ住民の声を聞く耳をもつ政治をつくるため、共に奮闘しましょう。

 福祉は平和であってこそ!憲法と民主主義を踏みにじる「安保法制」成立に強く抗議します

2015年9月19日

社会福祉施設経営者同友会

 9月19日未明、参議院本会議で、集団的自衛権を行使し日本を海外で戦争ができる国に大きく転換させる「安保法制」が、多くの国民の不安と反対の声を握りつぶし、安倍政権により強行成立しました。私たちは憲法にうたわれる人権原理のもとに国民の命と暮らしを守り社会福祉事業をおこなうものとして、この強行成立に対し、最大の強い怒りをもって抗議します。
 この間の国会審議をつうじて、この「安保法制」が「戦争法案」と呼ばれる理由が明確になりました。この法制が憲法解釈を踏みにじり集団的自衛権の行使を認める点でも、自衛隊が「戦闘地域」に行ってアメリカの戦争を支援する点でも、憲法に違反することが多くの憲法学者をはじめとした専門家の指摘により明らかなっています。さらに直近の世論調査でも「国民に説明が十分つくされていない」が80%を超え、今国会での成立に60%が「反対」と答え、民意は憲法が示す平和主義・立憲主義・民主主義を守れと安倍政権に迫り、連日、国会前をはじめ、全国各地で「廃案」「反対」の声がわき起こり、デモやパレードが続きました。しかし安倍政権は、これらの声をまったく黙殺し、「理解が深まらなくても法案を通す」「法案が通ればそのうち国民は忘れる」などと国民をばかにした態度で、無理やりに法案を成立させました。
 戦後70年、「平和のうちに生きる権利」を体現してきた憲法を破壊する暴虐を私たちは許しません。今、社会福祉はまるで戦前回帰のように自助・共助とともに慈善事業化される一方で、成長戦略による市場化が進み、人権保障としての公的な福祉が後退し、真に支援が必要な人に福祉が届かない状況が生まれています。戦争へ向かう国は、さらに国民の人権を奪い、すべてを国家のために働くよう仕向けます。私たちは社会福祉をはじめとしたこれらの動きがすべてつながりアメリカと財界の要求による「戦争できる国」づくりへ向かっていると感じています。
 しかし私たちには悲観も絶望もありません。若者をはじめとした国民一人ひとりの自由と平和と民主主義を求める声が思いが安倍政権を日々追い詰めています。たたかいはここからです。私たちは最大の怒りをもって「安保法制」強行成立に抗議します。そして共同の力で、また利用者・家族、福祉労働者、経営者など社会福祉関係者と手を携え、この法制の実行を阻止し国民の手に平和と民主主義、さらには真の社会福祉を取り戻すため、奮闘することを決意します。

 社会福祉法等の改正法案に対する参考人意見陳述

2015年7月10日

社会福祉施設経営者同友会 会長 茨木範宏

 私は社会福祉法人・施設の経営者・管理者で組織する社会福祉施設経営者同友会会長の茨木です。今回の社会福祉法等の改正法案について、社会福祉の現場で働くものとして意見を述べます。まずこの改正法案は、これまで戦後の社会福祉政策、社会福祉実践の歴史の中で築かれてきた、権利としての社会福祉が大きく変わってしまうのではないか、という問題を含んでいると考えます。

 第1の問題は、今回新たに第24条(経営の原則)に社会福祉法人の責務として第2項を設けました、そこでは「社会福祉法人は日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない」と積極的な義務を課しています。これは簡単に言えば、格差・貧困の増大などの社会問題や、生活保護や医療・介護など制度利用の窓口を厳しくする中で、その対象外になった人たちへのサービスなど制度の狭間の問題への対応を、社会福祉法人が金も人も担ってください、というものです。社会福祉法第61条では「国及び地方公共団体は、法律に基づくその責任を、他の社会福祉事業を経営するものに転嫁し、又はこれらの者の財政的援助を求めないこと」「国は社会福祉事業を経営する者に対し、自主性を重んじ不当な関与を行わないこと」としています。そういう意味ではこれは法的にも国が社会福祉法人の経営に関与するという意味で、明確な社会福祉法第61条違反です。
 さらに付け加えれば、このような義務を課す云々という以前に、全国で多くの社会福祉法人が事業者が「ないものは自分たちでつくる」という気概をもち、「障害があっても働きたい」「この町で暮らしたい」「安心して子どもを生み育てたい」という当事者、家族、地域の要求や思いを受けとめ、先進的、献身的に事業を立ち上げ、制度化してきました。つまり社会福祉法人の歴史そのものが社会貢献であり地域公益活動です。

 第2の問題は、社会福祉法人の「いわゆる内部留保」を、この「地域公益活動」の財源としていることです。「内部留保」とは本来「営利企業における株主配当等を除いた上での儲けの貯え」のことです。社会福祉法人がその事業の公益性・非営利性のもとに、将来的に持続する経営と事業の発展のために資金を確保していることとは、全く次元の違うものです。これらの資金は施設の長期修繕や建替え、人件費、新たな事業の準備など、社会福祉事業のために使うという明確な目的をもった必要資金です。この「いわゆる内部留保」はここ数年来、「ため込んでいる社会福祉法人」「純利益はトヨタ以上」などとマスコミをとおしてバッシングを強め、この制度改革を後押ししてきた感がありますが、結局、内部留保の定義も算定方法も二転三転し、「余裕財産」「再投下対象財産」などとネーミングも変わり、法案では「社会福祉充実残額」としていますが、その算定方法の基準(事業継続に必要な資産)も実は現在検討中ということです。言い換えれば、生活困窮者等への対策は、今もってあるかないかわからない「社会福祉充実残額」により実施される程度のものなのかということです。また4月の介護や障害の報酬単価の改定で経営が厳しくなっている事業所が増えている中、この「社会福祉充実残額」の余裕もない中で新たな費用負担が生まれれば、今でも人として当たり前の暮らしが保障されているとはいえない社会福祉の利用者さんへのしわ寄せと、ただでさえ低い処遇水準のまま置かれている福祉労働者へのしわ寄せという、二重のしわ寄せが起こることになります。社会福祉事業の報酬は、本来の社会福祉事業のために使われなければならないと考えます。

 第3の問題は、今回の制度改革の根底にあるイコールフッティングです。「地域公益活動」の義務化は、儲かる分野にさらなる企業参入を促し、それ以外の採算のとれない分野を社会福祉法人が担うという差別化を促進します。この間、福祉に参入した営利企業の実態、モラルハザードが明らかになっています。例えば介護保険事業における虚偽の指定申請や不正請求などによる指定取消処分の7~8割は営利企業です。帝国データバンクの調査では介護事業所の休廃業・倒産はこの3年間で3倍に増え、その4割が株式会社です。障害分野でも就労移行支援事業や放課後等デイサービスなどへの企業進出がすすみ、利益をあげるための利用者獲得競争により、配置基準が守られない、架空請求、支援の専門性のない事業者による虐待などの権利侵害が起きています。福祉は非営利が原則です。イコールフッティングを言うのなら、現在参入している営利事業者に対し、収益のすべては社会福祉に再投資をすることなど、社会福祉法人と同等の厳しい規制をするべきです。

 第4の問題は、経営組織の見直しです。法案には全法人への評議員会の必置と評議員会を議決機関とすること、一定規模以上の社会福祉法人へ会計監査人を置くこと、さらには、理事・監事・評議員等への「損害賠償責任」を問うことなどがあります。全国2万の社会福祉法人のうち、小規模法人が多くを占めており一律の導入は過大な負担を生みます。さらに、これまで地域の住民や地域福祉の関係者、保護者など地域に根ざして法人運営に協力いただいてきた評議員会が外部監督のような組織に変わるのではないかという不安をもちます。また、この制度改革の議論の中では、合併や吸収による社会福祉法人の大規模化や非営利ホールディングカンパニーの議論もされてきました。そういう意味では法案で「解散」「清算」「合併」の手続きをちゃんと整備したのは、地域に根ざし活動する小規模法人を淘汰し、財源も人材も自前で有効活用できる大型法人を目指す方向なのかと思わせます。法人の大小にかかわらず、地域の中で支援の必要な方々に丁寧に向き合い支援を重ねることが重要です。

 第5の問題は、退職手当制度の見直しです。この制度は社会福祉に従事する人材確保を目的に、民間福祉労働者の賃金水準を改善するために導入され、掛け金を国・都道府県・事業者が3分の1ずつ負担してきました。しかしまず介護保険事業者が制度から外され、今回は障害福祉事業、そしておそらく2017年に保育も外すのではないかと言われています。公費助成がなくなることで事業者の負担は3倍増となり、制度の加入が減ることも予想されます。もともと低い賃金水準の福祉労働者が退職金の目途さえもてない、これは福祉人材確保を目標としながら、全く逆方向としか思えない制度見直しです。福祉で働く職員の処遇改善は社会福祉事業のこれからを左右する最大の急務です。

 本日お配りした資料は、「障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会」と「NPO法人日本障害者センター」が中心となり組織された「社会福祉事業のあり方検討会」が昨年12月から今年の2月にかけて実施された「社会福祉法人アンケート」の結果です。全国2万の法人のうち約15000法人に郵送し2156法人から回答を得ています。まず今回のこの制度改革について86%が「詳しく知らない」と社会福祉法人自体がよく知っていない現状があります。さらに「地域公益活動」の義務化について「強制すべきでない」「すでに行っている」など93%が「義務づけるべきではない」としています。そしてもしも「余裕財産」があるとしたら、実際は余裕はないんですが、79%が「利用者に対する支援の質の向上、待機児・待機者への支援の拡大、職員の処遇改善に使うべき」としています。現場はきびしい財政状況の中でも、利用者の暮らしと権利を守り、職員の労働を守り、そして経営を守り、地道に実践を行っています。このアンケートの答えはそんな現場を代表する大変まっとうな答えではないでしょうか。

 社会福祉法人は社会福祉事業を行うことを目的に設立された法人で、その公益性により所轄庁による指導監査や解散時の残余財産の帰属先制限などの強い公的規制を受ける一方で、補助金や非課税等の支援措置を受けることでバランスをもち運営されてきました。今回の法案は、成長戦略による福祉の市場化をすすめるため、イコールフッティングにより社福への支援措置を縮小する一方、財務規律や組織改革、行政関与などの厳しい規制を設けるという、公益性を担保する規制を強めながらイコールフッティングにより公益性を薄めるという大変矛盾に満ちたものです。
本来すべての社会福祉にかかわる事業と活動、つまり国民の命と尊厳、幸せにかかわる活動は、憲法25条(生存権)にもとづき公的責任で実施されるのが原則のはずです。そのもとで社会福祉法人をはじめとした非営利団体がその事業を担っています。人の尊厳にかかわる価値を金儲けや成長戦略のテーブルで論じること自体が問題であり、この制度改革は憲法25条の解釈改憲であると考えます。私は社会福祉の現場に立つものとして、法案の拙速な審議・採決はやめていただき、真に国民一人ひとりの命と暮らしが守られる憲法にもとづく人権原理が貫かれた社会福祉制度を求めるものです。

 憲法を破壊する戦争法案(安全保障関連法案)に反対します

2015年5月26日

社会福祉施設経営者同友会

 5月26日、米国の起こす戦争に自衛隊がいつでもどこでも参戦・支援するための戦争法案(安全保障関連法案)が衆院本会議で審議に入りました。私たちは、この憲法を蹂躙する戦後最悪の法案に反対し、国民共同の力で法案の成立阻止に全力をあげることを表明します。
 この法案は、昨年安倍自公内閣が、憲法違反である集団的自衛権を可能にする閣議決定を強行したことに続き、そのための安全保障法整備を今年夏までに行うことを米国に約束したもので、その内容は①戦争中の輸送・補給などの「後方支援」をいつでも可能にし自衛隊が「戦闘地域」で活動できる、②国連が統括していない活動にも「治安維持活動」の名前で自衛隊が戦闘参加できる、③集団的自衛権を発動して米国の戦争に参戦し自衛隊が海外で武力行使できる、というものであり、「平和」「安全」という名前をつけても、まさに「日本を海外で戦争できる国」につくりかえるのが、その正体です。
 私たちは、民間の社会福祉法人・施設の経営者・管理者で組織される団体で、憲法25条(生存権)にもとづき、その実現に向けて社会福祉事業を行っているものです。戦後、憲法のもとで国民が平和のうちに生存し、その生存が健康で文化的であることが基本的権利とされ、永年にわたる国民の運動のなかで「権利としての福祉」が確立されてきた歴史があります。社会保障・社会福祉を生存権にそって発展させることと、生存権を根底から破壊する「戦争国家」への道を防ぐことは一体のものです。福祉は平和であってこそ発展します。
 私たちはあらためて人権保障の憲法の理念にたち、平和を守る、社会保障・社会福祉を守る、つまり「平和のうちに生存する権利」を守ることを固く誓うとともに、この「戦争法案」を廃案にするため奮闘することを宣言します。

 「社会福祉法等の一部を改正する法律案」の見直しを求めます

2015年4月10日

福祉同友会会長 茨木 範宏

 LEFT:社会福祉施設経営者同友会(以下「福祉同友会」)は、民間の社会福祉事業・施設の経営者が、民主的な法人・施設運営をめざし、経営と利用者と職員を守り、権利としての社会福祉を守り発展させることを目的に1985年に発足、幅広い協力共同のとりくみ、民間社会福祉経営ならではの先駆性や創造性を発揮した研究・学習のとりくみを行ってきました。
 今、その権利としての社会福祉が、社会福祉基礎構造改革をはじめとした制度改変のなかで市場化・営利化が促進され、また自己責任と自助・共助の押しつけにより、本来の人権保障としての役割が歪められようとしています。
 特にこの間議論をされてきた社会福祉法人制度改革が、4月3日「社会福祉法等の一部を改正する法律案(以下「改正法案」)」として閣議決定され、国会審議に入りました。
この「改正法案」は、一部の社会福祉法人の不正や、明確な定めのない「いわゆる内部留保」問題をはじめとした社会福祉法人バッシングを背景に、社会福祉法人が「余裕財産(内部留保)」を再投下して「地域における公益的な取り組み(社会貢献)」を行うことを法律で義務化するなど、政治や市場の失敗によるさまざまな社会福祉の諸課題に対して、社会福祉法人が自己責任で自主的慈善事業として実施することを求めるなど、戦後築いてきた社会福祉事業のあり方を大きく変質させるものとなっています。また「改正法案」では「地域における公益的な取り組み」を「社会福祉充実事業」、「余裕財産」を「社会福祉充実残額」と呼ぶなど、公的責任による社会福祉充実を社会福祉法人に肩代わりさせる今回の法案の性格をそのまま表す露骨な表現となっています。
 福祉同友会は、社会福祉事業に責任をもつ経営者として、この「法案」に承服できるものではなく見直しを求めるとともに、あらためて憲法25条に基づく権利としての社会福祉を守り拡充するために、以下の要求をします。

1.社会福祉法24条(経営の原則)改正で、生活困窮者等への支援を社会福祉法人の責務と定めるのではなく、それらは国・自治体の公的な責任において行うこと。
2.経営組織の見直しとして、社会福祉法人への評議員会必置など一律の導入(小規模法人への経過措置はあるが)を行わないこと。
3.財務規律の強化として、「社会福祉充実残額」を「社会福祉充実事業」に計画的に再投資させるという、社会福祉法61条違反となる社会福祉法人の自主性への不当な関与をやめること。
4.福祉人材確保が難しい中でそれに逆行し、また事業所の負担増で経営を圧迫する「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」の障害者支援施設に係る公費助成の廃止を行わないこと。

 社会福祉法人制度見直しの動向と今後の課題

       ~ほんまもんの社会福祉を守るために~

2014年12月3日

福祉同友会会長 茨木 範宏

 社会福祉法人へのネガティブキャンペーン
 昨年9月に発足した厚労省の「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」(以下「在り方検討会」)のまとめ「社会福祉法人制度の在り方について」(以下「在り方報告」)が発表された7月4日を前後して、社会福祉法人(以下「社福」)の不正と、一方で企業参入を促進する報道がきわだって増えました。生活保護バッシングが記憶に新しいように、政府が人の命や人権にかかわる制度や法をいじる時、必ずネガティブキャンペーンをはるもので、これはまさに「在り方報告」に呼応した、用意周到な世論操作でした。
 福祉同友会が、朝日新聞の特集「報われぬ国」にたいし抗議を送ったところ記者が取材に来ました。その6月30日付の記事「もうけが目的ではだめ」をみて福祉同友会あてに手紙がきました。それは経営コンサルティング会社顧問からで、3年間要請をうけて就任した特別養護老人ホームの経営再建報告でした。不採算部門の休止とスタッフの適正配置、稼働率向上と業務委託等諸経費の再検討などを行い、就任時の赤字2千万円から黒字6千万円への脱皮に成功したと、この方が朝日記事をどう読まれたかわかりませんが、不正がはびこり旧態依然のようなイメージの社福経営に対し、今こそビジネスチャンスと、こうしたコンサル会社が手ぐすね引いて待っているようです。

 社会福祉法人制度見直しは、いったい誰からの問いなのか 
 こうしたさまざまな動向が、社福制度の見直しという問いかけの中で起こっています。「在り方検討会」座長の慶応大学の田中滋氏は述べています。「今問われているのは何か。皆さんが永年積み重ねてきた本質的な社会福祉機能については特段非難されていません。むしろ称賛の声も多い。つまりサービスそのものの是非ではなく、法人経営のあり方、法人制度のあり方が問われている。」
 ではいったい全体この「問い」は誰からの問いかけなのでしょうか。社福の制度やあり方を問うているのは日本経済再生本部(産業競争力会議)や規制改革会議、つまり資本の側からの一方的な問い(改革)です。私たちが常に問われなければならないのは、社会福祉を利用する当事者であり家族であり地域の人びとであり、その問いに応えるのが私たちの責任です。
 本来すべての社会福祉にかかわる事業(国民のいのちと幸せにかかわる活動)は、憲法25条(生存権)にもとづき、根本的に国の責任でされなければならず、国の財政が大変とか、ちょっと削ろうというようなものではないはずです。その国の責任のもとで社福をはじめとした非営利団体が社会福祉事業を担っているのです。人の命や尊厳にかかわる大切な価値を、成長戦略や金儲けのテーブルで論じることじたいが、明確な憲法違反です。

社会福祉法人バッシングの意味
 一つは限りなく営利法人に近づけていく、つまり公的な人権保障を担う社福の淘汰です。二つには、限りなく営利企業が参入しやすくする、つまりイコールフッティングの徹底です。これはけっして急に始まったことではなく、95年勧告(社会保障制度審議会)で、営利企業が福祉・医療に参入することを推進して以降、98年の基礎構造改革や、04年の「社会福祉法人制度の見直し」などで布石をうちながら、いよいよ仕上げに入ったことを意味します。
 これらは政府と財界がすすめる福祉の市場化・商品化のながれを加速させ、福祉を成長戦略の金儲けの道具にする働きを強めます。「在り方検討会」は、この背景の中で議論され、まとめが出ました。
 この議論をすすめるには社福攻撃が必要でした。そして「税金を溜めこんでいる」という内部留保問題が、最も国民に浸透しやすい突破口でした。「多くの社福はこれまでに蓄えた資産の維持に走り、新たな福祉ニーズに応える事業を拡大することに消極的」(2011日経・松山氏)、「収益事業だけ行い内部留保を膨らませている社福が今のまま存続できるとは思えない」(2013毎日)、「社福が優遇されていることを脇に置いて、株式会社だけ経営悪化の懸念を言うのはおかしい。同じ土俵で競争できるようにすることが先決」(2013産経)などの報道は、国民に社福の不正や優遇に疑問をもたせ、既得権益批判をよびます。
 この間、公務員、教員、生活保護など、あたかも不正に私腹をこやしている印象をもたせることで、市民感情をコントロールする手法が続いています。何のための誰のための社福の存在なのかが伝わりにくい中で、一部の不正によって、すべてが利権を得ているような印象を与えるのです。

内部留保問題の意味
 この間、特養が1施設平均3億円を貯めているとか、トヨタ以上の純利益をあげているといった報道が続き、税の優遇や補助金を受けているのに社福がそのお金を溜めこんでいるという批判が内部留保という言い方で始まり、現在それは「余裕財産」となっています。
 内部留保とは本来「営利企業における株主配当等を除いたうえでの儲けの貯え」のことで、社福がその事業の公益性・非営利性を原則に、事業経営のための資金を留保することとは、まったく次元のちがう考え方です。だから内部留保の考え方や計算方法により額が減った増えたと論じることじたい意味がなく、あらためて社福には営利企業でいう内部留保はなく、れっきとした理由(目的)のために、必要な資金の積立があるというほうが明快です。

「在り方報告」で示された方向 
 報告の最初に「社福制度の改革がないと、社福に未来はない」と脅迫し、地域ニーズに対応していない、財務状況は不透明、ガバナンスが欠如、内部留保の溜めこみ、そして他の経営主体とくらべて優遇されていると、さんざんこきおろし、だから制度の狭間の社会問題、つまり制度や市場が手を出さないところに社福が手を出し、しかも内部留保と独自財源でそれを賄え、それが社福の今日的役割、つまり政府や市場の失敗を補完することが真の役割という、大変虫のいいまとめとなっています。
 その補完役をはたすため、地域における公益的な活動の推進を義務化する、そのためには金も人も自前で有効に利用できるよう法人組織の強化と非営利ホールディングカンパニーも視野に入れた規模拡大をすすめる、さらには国家への貢献と、その責務をはたさない法人への指導(ペナルティ?)を強めることをうたっています。
 この報告を受けて、2014年8月より、社会保障制度審議会福祉部会が来年の通常国会への社会福祉法改正にむけた法案提出のための議論をすすめているのです。

この制度改革が何をもたらすのか
 この制度改革はたんなる社福の問題だけにとどまりません。これは社会福祉の権利性をなくし、社会福祉が社会福祉でなくなることを意味します。つまり社会福祉事業は自主的な慈善事業であり、自己責任だけではどうしても生きていけない国民への施しへと変えられます。まさに明治の恤救規則への回帰でしょう。
さらに福祉労働者はサービス従事者となり、経済原理にさらされ、労働条件と賃金はさらに低く抑えられ、一方で労働量の増大と労働力の流動化がすすむことが考えられます。
 また社福制度の解体がすすめば、いわゆる国家のために働く優良法人と、言うことを聞かない悪質法人に2分化され、市場化の促進もさらに進みます。大規模化が進むと、小規模法人の淘汰で、地域に密着した支援が困難になるおそれもあります。
さまざまな福祉課題や福祉要求にたいして、ここまでが制度の範囲でここからが社会貢献、などという分けへだてができない社会や国民のくらしの実態があります。もちろん制度にない困りごとへの対応を私たちが行うのは当然ですが、これらの支援はあくまでも公的な責任と裏づけのもとで行われるべきものであり、そういう意味では、この改革は、社福を生かさず殺さず上手に使おうという考えがチラチラと見え隠れします。

この危険な動きに対峙して
 社福制度改革は、政府がすすめる財界とアメリカの要求に応える成長戦略路線と同じ流れの中にあります。安倍首相の「この道しかない」という道を進むことは、ますます格差と貧困が進むことを意味します。結果、いわゆる「制度の狭間」の社会問題が増大する、制度そのものも効率化や優先化で狭くなっているわけですから、その狭間は逆に広がっています。その広がった狭間に責任をもつのが社福の慈善事業ですよと言っているのです。
 私たち福祉同友会は、この社福制度改革の方向には真っ向から異を唱えます。そして真に国民一人ひとりの命とくらしが守られる権利としての社会福祉を求めます。
 そのためには、良質な社福と事業の見える化、見せる化が必要です。経営の健全性をはかり、福祉の専門性をさらに高め、社会福祉にたいする国民の認識・理解をあげていく、つまり社会福祉とは慈善や施しで与えられたり、あるいは自己責任で買うものではなく、権利としての社会保障であるということを身をもって示していくことです。
 だから、業界が生き残りをかけて行おうとする社会貢献ではなく、今の悪政の荒波から国民のいのちと暮らしを守る防波堤としての社会貢献を積極的にすすめ、それは国の責任において行われるべきものとして制度化を求めます。
 そのためには、社会福祉の仕事を担う福祉労働者の処遇改善は急務で、公的な保障を強く求めていきます。
 さらに民主的経営や非営利組織との一歩踏みこむ共同も重要で、協力をすすめる中で地域の要求を掘りおこし、それに応える多機能で総合的な力をもつことが求められます。あくまでも地域が主戦場です。
 一方で金儲けを目的に福祉に参入する営利企業の人権侵害の利用者支援や労働実態は目に余ります。徹底的に営利企業の悪を暴き、「福祉は非営利」を貫きます。
 いま社福制度改革に対して、障全協、きょうされん、21・老福連などさまざまな団体が、その問題点を指摘し、社会福祉の危機と声を上げています。私たちは、この制度改革そのものが憲法破壊であることを明確にして、これら共同のとりくみをすすめます。

 社会福祉法人をめぐる一連の報道について抗議します

       ~ほんまもんの社会福祉を守るために~

2014年6月6日

福祉同友会会長 茨木 範宏

 朝日新聞が「報われぬ国(福祉利権)」というシリーズで、この間、社会福祉法人をめぐる一連の報道をしています。見出しだけを並べると「ワンマン理事長暴走」「社会福祉法人食い物に」「私物化横行」など、刺激的なタイトルがならび、これだけを見ると、社会福祉法人が悪行のうえ暴利をむさぼっているようなイメージを植えつけかねないものです。
 もちろん、報道されるような社会福祉法人の不正はきっぱりと糾されなければならないし、それを指導監査する行政の責務も問われます。当然私たちも襟を正して真摯に社会福祉事業をすすめなければならないと強く感じるところです。しかし、利用者・地域の要求に根ざし、信頼に応え、黙々と真面目に社会福祉の事業を行っている多くの社会福祉法人が、同じような目で見られる、あるいはバッシングの対象となることには大きな憤りを覚えます。私たちはまず、この一面的な報道に対し強く抗議をするものです。

 厚労省は社会福祉法人のあり方について昨年9月に「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」を設置し、この6月にもまとめが出る予定です。そこでの論点は、「公費投入と非課税優遇に値する社会福祉法人と、そうでない社会福祉法人を峻別する判断基準と仕組み」をつくることで、具体的にその基準として、社会貢献(自主的慈善事業)を行っているか、財務諸表公開などの透明性確保をはじめとした事業者のガバナンスが確立されているかを問う仕組みづくりを提起しています。それには社会貢献拠出が可能な安定した経営とガバナンス確立のための社会福祉法人の大規模化や、複数法人による連携、非営利ホールディングカンパニーなどの提案もされています。さらには「非課税などの優遇にただ乗りしているだけのフリーライダーの社会福祉法人」に対しては、きびしいペナルティを科すという方向も固まっているようです。
 ここでの議論の根底にあるのは、一つは社会福祉法人の本来の役割を慈善事業とし、生活困窮者など政府の失政により生み出された貧困や格差による社会問題への対応を、いわゆる「内部留保」という企業における儲けの論理をあてはめ、その資金で貢献を迫っているという点、もう一つは福祉の準市場化の中でイコールフッティングにより福祉を儲けの対象にして営利企業の参入をはかるという点です。いずれも、憲法に規定された人権保障としての社会福祉という理念をゆがめ、社会福祉事業そのものの変質にまで至らせる論理です。

 もちろん、社会福祉法人が制度の狭間や、暮らしに困っている人たちを対象に支援を行うことは私たちの役割だと認識していますし、実際に社会福祉施設経営者同友会参加の社会福祉法人では、地域に根ざし、高齢者、障害者、子どもたちをはじめ、住民の要求に応え、制度にないものは自分たちでつくりだすという姿勢で事業をすすめています。
 社会福祉は慈善などではなく、人権保障としての「営み」であり、それが成長産業の名のもとに経済性や効率性を優先して語られること自体が大きな問題です。大飯原発再稼働地裁判決で示されたように、人の「いのちとくらし」が何よりも優先されるのです。

 あらためて私たち社会福祉施設経営者同友会をはじめ、日々の社会福祉事業を真面目にすすめる多くの社会福祉法人は、この間の報道をはじめとした社会福祉法人バッシングと、憲法を無視するような経済効果優先の社会福祉法人の在り方議論に異を唱えるとともに、引き続き、国民の要求に応え、利用者・地域・職員・経営者の連携と共同で、人権尊重の真の社会福祉実現にむけて事業をすすめるものです。

大阪都構想ストップ 共同の力を結集しよう

2014年3月1日

福祉同友会会長 茨木 範宏

無責任きわまりない出直し選挙
 大阪市の橋下市長が、自身がかかげる大阪都構想についての協議が、野党の抵抗によって進まないという理由から、辞職して出直し市長選挙を行うと表明、3月9日告示、23日投開票で市長選が行われることになりました。これは、これまで推進してきた都構想実現に必要な特別区の区割り案一本化に、維新の会以外の会派が反対し、行き詰った中でのまさに「居直り辞職」です。
そもそも都構想の内容が明らかになるにつれて、そのひどい中身が市民の目にも明らかになり、先の堺市長選挙でも都構想推進を掲げた候補が住民の批判の中で惨敗しました。当初は「府と市の二重行政の無駄をなくし、毎年4千億円を生み出す」といわれていましたが、実際の制度案の効果は、地下鉄などの民営化や「市政改革プラン」にもとづく敬老パス有料化などの市民サービス切り捨てなど府市再編と無関係なもので、実際のところを積算すると9.4億円にすぎず、逆に特別区設置で新たな初期費用が必要となること、行政コストの増加で住民サービスの財源が減ること、特別区の間の格差によりサービス水準に格差が生まれることなど、特別区に分割する意味がないことが次々と明らかになっています。さらに今回の選挙費用として6億円がかかるなど、来年度予算を決める重要な時期に市長の責任を投げ出し、消費税増税で暮らしや不況に不安を抱く住民を守るという視点がいっさい感じられない、まさに破たんした都構想を財界の意向のもとに無理無理に推し進めるための、全く無責任な住民不在の「橋下劇場」にほかなりません。

橋下・維新がやってきたこと
 もともと橋下・維新のこの数年の政治で、大阪は大きく変化しました。「選挙結果が民意だ」と住民から白紙委任されたかのようにハシズムと言われるほどの独裁色を強め、公務員や労働組合を敵として既得権益バッシングを行い、「教育・職員基本条例」を強行、憲法違反の思想調査や君が代斉唱の口もと確認などで、もの言えぬ空気を作り出してきました。その政策では使い古しの大企業誘致や大型開発、さらにはカジノ誘致などの財界からの要望に応えるもの、また府立大学と市立大学の統合や、地下鉄と市バスの民営化、子どもたちを競争にあおりたてる学校選択制、文楽協会などへの補助金削減などの政策は、住民の暮らしの充実への視線はかけらも見られません。社会福祉でも市独自の水準や補助金をゼロベースで見直す、子どもの家事業などの廃止、市立幼稚園全園の民営化、認証保育所の導入や株式会社参入の促進などで子ども子育て新制度に呼応した安上がりの保育を狙うなど、社会福祉の全面後退をすすめてきました。
 その中で昨年、橋下市長の「慰安婦は必要だった」、米軍は「もっと風俗業を活用して」などの女性蔑視発言が出ましたが、これなどは人格さえ疑わざるをえないもので、これ一つとっても市長の資格はありません。
 そうした住民サービス・福祉切り捨てをすすめる橋下・維新の政治に対して、市立住吉病院の廃止に対する運動など、住民から反対の動きが各地で生まれており、こうした世論が橋下・維新を追い込んできたのも事実です。

共に力を合わせて
 今回の市長選挙はこうした背景で行われます。橋下市長は「橋下を落とすチャンスを有権者に与える。反対なら僕の首をとれ」と、上から目線で挑発を繰り返しています。今、橋下氏に求められるのは、大阪都構想の破たんを認め断念し、自らすっぱりと市政から去ることでしょう。私たち福祉同友会も反維新・独裁政治ストップの共同に結集し、憲法を守り、地方自治を守り、そして社会福祉の拡充をめざし、共に力を合わせていきましょう。
 2月16日に開催された「橋下行政に異議あり 市民シンポジウム」で大阪市立大名誉教授の宮本憲一さんが、このように話されていました。「大都市とは、狭い地域の中にさまざまな人が暮らし、多くの才能ある人や優れた企業や大学があって、新しい商品や新しい文化が創造される場所。経済と文化を生み出すインキュベーター(卵のふ化器)といってよい。この集積の力こそ、かつての大阪の強みだった。大阪はかつての強みを再生させ、環境を大切にして、文化活動のゆたかな住み心地のよい都市をめざすことが先決だ。都構想は相変わらず経済成長しかかかげず、これはまったく古い戦術だ。」と、本当に大阪市民は歴史的大都市である大阪市がなくなってよいと思っているのか、と問題提起されました。そして「大阪市の解体を止め、都市格のある街を創造できるかどうかは市民の覚醒にある」と強調され、住民が都市再生の原動力であり住民が都市を愛せなくなったら都市は滅びる!と言われています。
 社会福祉事業が市場化の中で慈善事業に後退させられようとしている今日、私たち福祉関係者もまた覚醒しなければならない時と強く感じました。

新年を迎えて~あきらめたらおしまい 微力を集めて大きな力に

2014年1月10日

福祉同友会会長 茨木 範宏

 福祉同友会会員の皆さん、あけましておめでとうございます。昨年は福祉同友会のとりくみへの参画、本当にありがとうございました。
 午年ということで、新年早々でなんですが「馬鹿」という言葉の語源について少し。俗説では史記(秦始皇本紀)の故事「鹿をさして馬となす」からきたというもので、これは秦の趙高が二世皇帝に鹿を「馬」であると言って献じたところ、群臣は権勢を恐れて「馬です」と答えたが「鹿」と答えたものは暗殺され、このことから、自分の権勢をよいことに矛盾したことを押し通す意味として「馬鹿」というようになったというものです。
昨年は、本当にここまで国民を、国民の声を「馬鹿」にするのか、というべき怒りの一年でした。社会福祉切り捨てをはじめとした安倍政権の暴走はとどまることなく、まさに鹿を馬と言わされるような世の中が着々とつくられようとしています。つい無力感に陥りそうになることもありますが、年末に聞いた池田香代子さんのお話の中で「私たちは無力じゃない、微力なだけだ」という言葉がありました。そんな微力を集めればきっと立ち向かえる、それは原発ゼロや秘密保護法案に対する全国的な運動の高まりが、それを示しています。あきらめたらおしまい、そんな思いでこの一年、憲法を守り、社会福祉を守るとりくみを共にすすめていきたいと思います。
 また昨年は管理職養成学校をスタートすることができました。現状を深くとらえ、変えていく力をつけるとりくみでもあります。社会福祉法人のあり方をめぐっても検討委員会のまとめが今年出されますが、憲法にもとづく人権保障としての真の社会福祉事業を求める私たちの立場は揺るぎようはありません。福祉同友会からの発信も続けていきたいと思います。「福祉のひろば1月号…今と明日の社会福祉をつなぐ」の紹介で、YouTube(sosyakenで検索)で研究所の黒田さんと、少しそのあたりを熱めに語っています。ぜひご覧ください。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

社会保障制度改革国民会議報告についてー社会保障解体を許さない共同の行動を

2013年9月10日

福祉同友会会長 茨木 範宏

 2013年8月5日、社会保障制度改革国民会議(以下、国民会議)が報告書をとりまとめ、これからの社会保障のあり方と内容について総論・各論で提案しました。さらにそれを進める手順を示すプログラム法案が閣議決定され、安倍内閣は秋の臨時国会で成立させる方向です。そもそも国民会議は、「社会保障制度改革推進法」に基づき設置されたもので、この報告は推進法の基本的な考え方である「自助・共助」や「給付の重点化・効率化」「世代間の公平」などがそのまま具体的に示されています。
 個々の内容をみると、70~74歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げ、「軽度」といわれる要支援の利用者の介護保険給付はずしと利用料負担増など、新たな負担増と給付削減のオンパレードとなっています。さらに「中長期の検討課題」としてはいますが、年金受給開始年齢の引き上げなども控えており、国民に一方的に我慢を強いる内容です。また2015年予定の子ども子育て新制度開始を待たずに待機児童解消加速化プランをさらにすすめることも示しています。これらは、まさに憲法で保障された国の義務としての生存権保障をなし崩しにするものであり、到底納得できるものではありません。
 この報告にはわざわざ国民会議議長(清家篤)の名で、「国民へのメッセージ」が出されています。そこでは「社会保障給付費が年間100兆円を超える」ことで「現役世代の保険料や税負担が増大」したため、「社会保障制度自体の持続可能性」が問われていると脅しをかけ、高齢化が社会保障制度の持続を圧迫しているとでもいうような口調で、だから「消費税収をしっかりと確保」して「能力に応じた負担の仕組み」を整備するとしています。最後には福沢諭吉の言葉「学者は国の奴雁なり」を引用して、国民会議が雁の群れから一羽高く首を揚げて遠くを見渡す存在であると自画自賛、これはもう国民会議の名称は返上し「上から目線会議」とでも名乗ってもらいたいくらいです。
 また今回、社会福祉法人に対しても、「医療法人制度・社会福祉法人制度の見直し」で、「経営の合理化、近代化が必要」と指摘し、「大規模化や複数法人の連携を推進」することを示しています。さらには「非課税扱いされているにふさわしい、国家や地域への貢献が求められ」ていると述べ、福祉の市場化の中で再編・統合、そのための制度改正にまで言及しています。これはこの間の社会福祉法人バッシングとも軌を一にするものであり、注視する必要があります。
 いずれにしても財政が大変だからという理由を持ち出しながら、一方で大企業や富裕層を優遇する、国民には消費増税し、利用者負担を増やし給付を削るという国民の暮らしや福祉に目を向けない全く逆立ちした政治のあり方にメスを入れない限り、真の社会保障制度の実現は困難です。社会保障制度の解体を許さない共同の運動を今こそ、秋に向けておうせいに進めていきたいと思います。

第28回社会福祉施設経営者同友会総会 基調報告

2013年6月10日

福祉同友会会長 茨木 範宏

 社会福祉をめぐる情勢と同友会の立ち位置ということで報告いたします。
 今年1月開催の「新任管理者のための一泊研修」での同友会相談役の講義で、同友会結成の歩みを学びました。その中で、同友会の始まりには、行政の下請け機関としての府社協の役割、あるいは社会福祉関係者の行政との癒着や腐敗に対し、民主的な施設経営者間の連携を強め、福祉水準の切り下げと福祉の産業化に反対し、民主的経営を追求し、民主的経営思想を普及するという、高いこころざしの理念が出発にあることを学びました。その理念のもとに活動をつくることが今ほど求められている情勢はないのではないか、そんな思いを強く持ちました。
 今、「憲法が危ない」という情勢が、最も重要な民主主義の課題です。5月3日が憲法記念日ということで、各地でも憲法を守れという取り組みが報道されていました。特に今年は、安倍内閣が「改憲」を次の参院選挙の争点にすると言明した中での憲法記念日でした。マスコミの論調も新聞社によって相当違いがありますが、読売・産経以外の多くは、「反対」を表明していました。世論調査でも、96条改正について過半数が反対という結果が出ています。96条改正という姑息な手段を使ったために、逆に9条改正論者の学者や、ゴーマニズムの小林よしのり氏さえ反対を訴えるという皮肉な状況が生まれています。
 私も憲法記念日ということで、昨年4月に自民党が出した「改正草案」を読んでみました。一言でいうと、戦後民主主義の全否定という驚くような代物でした。
 今回の改憲は、憲法96条、つまり憲法改正を国会議員の3分の2以上の賛成から、過半数にとハードルを低くして、憲法を憲法でなくし、一般の法律と同じレベルにしてしまうといった立憲主義の否定につながる問題や、その先にある憲法9条の改定、国防軍を設置してアメリカが海外で行う戦争に参加できるようにすること、などの問題はマスコミ等でも多く指摘されており、それはそれで大きな問題です。しかし私たちにとって特に重要なのは、「人権」について、現在の歴史的な到達を塗り替えてしまうほどの、重要な内容を含んでいるということです。特に憲法全体を貫く価値観である13条の「個人の尊重」と「幸福追求権」について、草案では「全て国民は人として尊重される」となっています。つまり「個人」ではなく「人」一般として尊重される、これは同じように聞こえますが、似て非なるもの、個人の人権の尊重が人一般の中に混じって消えてしまうというものです。しかもその人権にも「公益及び公の秩序に反しない限り」という条件をつけています。このあいまいな「公益」や「公の秩序」がその時々の国の方針や政治によって、いくらでも規制や制約ができるようになっているのです。
 さらに憲法97条が示す「基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の成果で、侵すことのできない永久の権利である」という項は、条文ごと丸ごと削ってしまっています。たぶん、変えようがなかったのでしょう。そして最後に「国民がこの憲法を尊重しなければならない」と閉めています。
 個人より国家、人権より公益や公の秩序を優先するという考えは、これまで勝ち取ってきた人権保障としての社会福祉とは天と地ほどの差であり、国家が個人を憲法で縛るというものです。4・28の主権回復式典で「天皇陛下万歳」と唱和する姿、まさに明治時代に逆行するものではないでしょうか。
 あらためて同友会は、この危険な改憲に対して、反対を唱えるものであり、生存権、幸福追求権の具体化としての真の社会保障・社会福祉の実現に向けて努力することを表明したいと思います。

 昨年末の総選挙で、選挙制度の矛盾も味方につけ圧勝した自民党の安倍内閣は、「社会保障制度改革推進法」にもとづく介護・医療の利用者負担増とサービス削減、そして生活保護制度の改悪を推し進める一方、暮らし・福祉の充実、雇用の拡大を願う国民の切実な要求に反し、TPP参加表明、普天間基地の辺野古移設の強行、大型公共事業の推進、原発の再稼働と輸出、「道徳」教科化など教育制度の見直し、そして先ほど述べました憲法改悪へと、7月の参院選をにらみながらも、「強い日本」「美しい日本」をつくると拳を振り上げ、大きく舵を右にきっています。
 GWに諸外国を外遊していた安倍首相は、トルコへの原発輸出で合意しました。東日本大震災から2年が過ぎ、福島第一原発事故の原因さえまだ究明されていない中で、新たな安全神話のもとに原発輸出や再稼働に踏み切る、その姿勢には長年の原発推進政策への反省どころか、まるで事故などなかったかのような不逞ささえ感じます。未だ30万人以上が避難生活を送り、震災関連で亡くなった人が1200人を超える福島、仮設住宅での孤独死や自殺が相次ぎ、内部被ばくによる子どもの健康被害が問題になっている福島、どこでもいつでも弱い者たちが切り捨てられる社会はごめんです。
 私たちは、震災、原発事故を忘れないということを最低限の確認に、原発ゼロの会・大阪にも結集し、原発ゼロの声を大きく連帯をしていかなければならないと思います。

 さて、民主党政権時代の昨年8月に「社会保障と税の一体改革」の具体化として、消費税増税法と抱き合わせで、民主・自民・公明の賛成で成立したのが「社会保障制度改革推進法」です。消費税の税率は来年4月から8%、2015年10月から10%となります。アベノミクス、ちまたではアベノリスクとも言われていますが、これによる無制限の金融緩和による急激な円安、株高と、大型公共事業の推進による大企業本位の成長政策のもと、賃上げと雇用の拡大がはかられない中では、国民にとって賃金が上がらないのに物価だけが上がる最悪の事態を招きかねない状況になっています。「経済成長がそのうち国民の生活を豊かにする」という考えがまことしやかに言われていますが、これらはすでに構造改革で破たん済みの考えでもあります。
 「推進法」の具体化は「社会保障制度改革国民会議」ですすめられていますが、そこには麻生副総理が「経費を節減するために(高齢者は)さっさと死ねるようにしてもらう」と発言した終末期医療の見直しをはじめとする医療制度の改悪や、利用料アップやサービス削減につながる介護保険制度の改悪、さらに年金の引き下げと支給開始年齢の引き上げ、そして生活保護基準の引き下げをはじめとする生活保護制度改悪など、まさに「社会保障削減計画」のオンパレードとなっています。この麻生副総理というのは、本当に困った人で、数々の失言があります、本人にとっては本音なのでしょうが。先日、「70歳以上で、年に一度も病院に通わなかった人には10万円あげる」というアイデアを出しました。「10万円あげるとなったら、ちょっと病院へ行こうかなという人が行かなくなる」それで医療費が抑えられる、ということだそうですが、あほかと言いたい。誰しも病気になりたくてなっているのではありません。高齢になって病院へ行くことさえ、お金あげるから、と制限する。お金をチラつかすと病院へ行かないだろう、なんと浅はかで国民を愚ろうするものなのでしょうか。
 子ども子育て三法案により、今後保育をめぐっては、大きな課題があります。そんな中、先日安倍首相は、待機児解消加速化プランということで、5年で40万人の保育の受け皿を増やすと述べ、その後厚労省が認可保育所への株式会社参入を広げるよう地方に要請し、規制改革会議が株式会社参入を方針化しました。あとで保育は詳しく話があると思いますが、保育を、待機児解消を成長戦略に組み込むこと自体が保育をなめているといいますか、子どもの健やかな発達という視点が全く欠けています。本当に必要なのは経済の成長ではなく、子どもたちの成長である、ということをひとこと述べておきたいと思います。
 いろいろありますが、こんな傲慢な連中がよってたかって社会保障をずたずたにしていくことは本当に許せません、社会保障は人権保障、生きるための希望です。多くの国民の医療や介護への不安、暮らしの不安が高まる中、これらの社会保障改悪を許さないたたかいが本当に重要な年となります。同友会はその先頭に立つことを、あらためて表明します。

 総選挙で第三局ともてはやされた維新の会は、全国的には当初予想を下回る結果でしたが、大阪では一定の支持を得て、「大阪都構想」への地ならしとして、数の力で府政・市政で暴走を続けています。この間、昨年出した「市政改革プログラム」に基づいて、住吉市民病院の廃止、地下鉄・市バスの民営化、府立大学と私立大学の統合、国保料の値上げ、市立幼稚園59園すべての民営化と廃止など大切な府・市民向け施策をバッサリと削っています。さらに、体罰事件も利用した教育への政治的介入など、まさに「大阪つぶし」が強行にすすめられている状況です。
 維新の会の綱領なるものをご覧になりましたか、その言葉の乱暴さに辟易とはするのですが、特に維新八策の一番目にあたる項目で、このように述べています。「日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家・民族の真の自立に導き、国家を蘇生させる」。意味わかりますか?詳しくはいいませんが、石原代表のいう「軍事国家」をめざすために邪魔な憲法を変えたい、その決意はよくわかる文章です。しかし、こんなことを言っていたら本当に世界中から「孤立と軽蔑の対象」になってしまうのではないでしょうか。
 維新の会の本質は、国会での動向でも明らかなように、TPP交渉参加や消費税増税を後押しし、憲法改悪を先導する、まさに国民いじめの特攻役と化しています。私たちはこの維新の会の役割と目論見を広く知らせながら、大阪の福祉・医療、そして暮らしを守るため、広く共同のとりくみをすすめていきます。

 こうした情勢の下、特別養護老人ホームや障害福祉サービス事業者の内部留保、あるいは民間保育所の過剰残高などを取り上げた、社会福祉法人に対する厳しい指摘や意見がめだちます。内部留保とは、貸借対照表の「その他積立金」と「次期繰越活動収支差額」を指すようですが、昨年11月に行われた「規制・制度改革委員会」の集中討議では、社会福祉法人の透明性・健全性を高めるため、財務諸表の公開や外部監査の義務化などを求める意見が出され、その中では内部留保を社会還元する「模範的社会福祉法人」に重点的に公費を配分し、地域貢献など社会還元をしない社会福祉法人には優遇税制を外すなどの意見も出されています。
 そもそも内部留保とは?という問題もありますが、公的福祉を現場で具体化する社会福祉法人の公共性・公益性と継続性から言うと、「適正な内部留保」こそが必要です。この社会福祉法人バッシングともいうべき流れが、社会保障制度改革がすすめる福祉の市場化と軌を一にしていることこそ、大きな問題であると考えます。
 これらの攻撃、社会福祉法人は「事業拡大に消極的である」「社会還元をする意思もなく内部留保している」などの論調をきちんと受け止め反撃し、国民・利用者の権利を守り実現する人権保障としての社会福祉事業を積極的にすすめることこそ、最大の社会貢献であることを示していきたいと思います。

 以上、暮らしと社会福祉をめぐる状況は、構造改革と市場主義を強引に推し進める国の政策では、もはや当事者だけでなく国民全体の人権と生活、もっと言えば命が脅かされるという非常に危機的な様相を示しています。
 そして、社会福祉改革も、改憲も、すべて一つにつながっている、それはアメリカと財界の意向を受け、「経済復興には戦争さえ辞さない、いや戦争が一番儲かる」という確信のもとに、個人の人権を制限し、格差社会を温存し、目の前の利益にしがみつく一部の人たちとって有利な社会を国を作るためという、一本の道に続いています。
 このような情勢の中で、確かに事業運営は大変な状況です。しかし「大変だ!」と言っていても状況は変わりません。何が大変なのか、どうすれば対処できるのか、私たちは現状を把握する力をもち、分析して手を打つ力をもち、それを実行し推進する力をもつことが必要です。それは具体的には次のようなことだと思います。
 私たちは経営者の集まりですから、一つは、経営能力を向上させるということ、それは、「利用者を守り、職員を守り、法人・施設を守る」という課題を統一的に発展させるという原則に立ち、制度の改変に対応できる財政的にも安定した状況をつくりながら、利用者、地域住民のニーズに応える事業の推進・拡張を行うための、将来を見通した「経営戦略」をたてるということです。各法人・施設はぜひ中長期的なビジョンをつくり、運動課題と同様、それを追求していかねばならないと考えます。
 二つめは支援(実践の)力・集団力を向上させるということ、さすが民主園、民主的な施設と言われるような、支援の質の向上と人権尊重の施設づくりを徹底し、人事政策を確立し人材の確保と育成をはかりながら、夢と魅力のある法人・施設・職場をつくるということです。
 そして三つめが、社会福祉の各分野を超えての共同行動を強めるということです。昨年の総会では、横断的なとりくみを強めようと報告しました。これができるのが同友会のもつ大きな優位性です。今回提案する「管理職養成学校」もその一環ととらえてください。あとで詳しく提案があります。
 先日、障害者・高齢者総合福祉法の提言シンポというものがありました。そこでは、次のようなことが提起されました。一つは今の流れであるすべてを現金給付、つまり福祉サービスを金勘定に変えてしまうという流れではなく、現物給付に戻そう、二つには入所や利用は自治体の責任に戻そう、三つには全額公費負担を原則にしよう、ということで、特に保育を守れというねばり強い運動が、三法は許しましたが、児童福祉法第24条「市町村の保育義務」を残させた、この保育の運動に学ぶことも提起されていました。これもまた横断した運動であり、取り組みだと思います。
 私たちは、これらの課題を正面にとらえ、権利としての社会保障・社会福祉を守り拡充させるため、そして同友会の目的である「民主的な運営のあり方を追求し、施設の運営を守り、社会福祉の発展に寄与する」ために活動をすすめていかなければなりません。

待機児解消は質の高い保育の保障という視点で!規制緩和の促進反対

2013年5月10日

福祉同友会幹事 林 綾子(東桃谷幼児の園園長)

「認可保育所に入れたい」保護者の異議申し立て広がる
 厚労省によると、認可保育所への4月入所を申し込んで入れない子どもは全国で2万人を超えています。特に都市部でその傾向が著しく、東京都では2012年度の待機児は1万9828人でした。認可保育所は圧倒的に不足しています。
 東京都杉並区では1135人の募集枠の2.6倍にあたる2968人の申し込みがあり、多数の「落選者」が出る事態になっています。「このままでは仕事に復帰できない」と2月中旬、杉並区の約70人の母親たちが、「認可保育園への入所を希望したのに認められなかったのは不当だ」として、同区に行政不服審査法に基づく異議申し立てを行いました。異議申し立てを受けた杉並区は、既に公表していた既存の認可保育所の受け入れ枠をさらに拡大し、新たに3施設を来年4月に設置することを柱とした緊急対策を区議会に示しました。認可保育所の新設や既存施設の増設を打ち出す一方、定員の弾力運用、認可外保育所での対応策も出されました。母親たちは杉並区の対策を評価しつつも詰め込みや認可外との併用で解決を図ろうとする方向に懸念する声も出ています。「私たちの声に区が力を尽くしてくれた。だが問題の根本は認可保育所の不足。今後は認可を増やすことで対応してほしい」と認可保育所の抜本的な拡充を求めています。
 こうした異議申し立ての動きは足立区や大田区など5つの区にも波及し、行政不服審査法にもとづく異議申し立てが行われたのに続いて、25日にはさいたま市でも、市に対し入所不承諾処分の取り消しを求めて集団での審査請求が行われました。
 認可保育所に入りたいという要望の背景には、認可外保育所の利用料の高さのみならず、「ただ預けるだけでなく、子どもが生活し、成長していくための環境が整った保育園であってほしい」という保育の質を担保する保育士配置や保育環境に対する親の願いがあります。しかし一方で国や自治体の動行として、この待機児問題や保育士不足を逆に利用した規制緩和の動きがあります。政権交代によって新たな規制改革会議が2013年1月から論議をスタートさせていますが、その中で、政府は、この2年間で待機児童ゼロを目指してあらゆる措置を講じるべきである。として次のような論議を展開しています。
(保育の論点整理より)
1.自治体によって株式会社、NPO法人の認可保育所への参入状況が異なり、保育環境の格差につながっている。自治体の裁量により、設置主体が株式会社であることを理由に許可しないことがないよう、政府がガイドラインを策定し、もっとも成果をあげている自治体(横浜)並みの水準を目指すべきではないか。
2.待機児童が一定数を超える保育所については、緊急措置として出来る限りの特例的・時限的な規制緩和を認めるべきではないか。・・・として、具体的には待機児童が50人を超える自治体においては、「当面の間、保育士数は基準の8~9割程度とし、残りの職員を保育ママや幼稚園教諭等の免許保持者等を充てて、質を確保する・・・」「パートタイム保育士2名で常勤保育士1名とカウントすることを容易にする・・・」「パート労働者も保育所を利用しやすくするよう、一定時間や週に数日の預かりの仕組みを充実すべきではないか」「待機児童が多いにもかかわらず、『児童福祉施設最低基準』を上回って配置基準や施設基準を設定する自治体が少なくない。保育の質を最低基準で維持しつつ、保育の量の確保に重点を置いた方向を目指すべき・・・」その他にも、保育士資格取得の取得条件の緩和や、避難用外階段の設置義務の緩和等にも言及しています。面積基準の規制緩和のみならず、職員の配置基準まで、緩和の対象にしようとする動きに注意を払う必要があります。
 地域主権改革一括法案により保育所等の最低基準が、地方条例によって定められることになりましたが、その条例化にあたって、自治体の判断で基準引き下げ可能となる特例措置が決まりました。その対象となる指定自治体が35区から今年新たに4市が追加されることになりましたが、今後この対象がさらに広がることが危惧されます。一方、そのことをいち早く感じ取った東京の関係者は「詰め込みでは子どもの健全な成長、発達は保てない」と都内の保育園を使って、面積の違いによる保育への現場検証を実施しました。0歳児の一人当たりの面積が5平方メートル、国の最低基準の3・3平方メートル、規制緩和案の2・5平方メートルの3つの場合で比較しました。その結果、最も面積が狭い場合、保育士は泣いている子どもにかかりっきりで他の子どもに目が届かなか
ったり、食事や昼寝用の布団を敷くために泣いている子どもが放っておかれたりするケースがより多かったことが確認されました。
 保護者の異議申し立て行動の広がりによって待機児童問題が再び注目されるようになりましたが、すべての子どもたちに質の高い保育を保障するという視点で認可保育所増設の運動を広げなければ、逆に規制緩和を促進することになりかねません。国・自治体の矢継ぎ早の攻撃にともすれば後追いになってしまいますが、すべての子どもが、子どもらしく子ども時代を過ごせるように保護者を巻き込んだ運動が求められます。

生活保護基準引下げ、生活保護制度改悪に反対します

2013年3月6日

福祉同友会事務局長 室井宏文

★前例のない大幅引き下げ★
 政府は、2013年度予算案で生活保護の生活扶助(食費・光熱水費・被服費・児童養育費等の日常生活費)を3年間で総額670億円削減することを決めました。また年末に支給する期末一時扶助の見直しと合わせて計740億円を削減します。削減幅は平均6.5%(最大10%)で、この基準引き下げにより受給額が減る世帯は96%に上るとされています。現行生活保護法が制定された1950年以来,基準が引き下げられたのは、2003年度(0.9%減)と2004年度(0.2%)の2回のみで、今回は前例のない大幅引き下げです。
 併せて政府は、就労支援の強化、医療費扶助の適正化など「生活保護制度の見直し」によって450億円削減を決めたと報じられています。
 他方で20兆円規模の「緊急経済対策」を打ち出し、公共事業等による財政出動を行うとしながら、生活保護基準の引き下げによって生活保護利用者をはじめとする低所得者層に対して負担増(実質的な増税)を強いるのは、社会保障・社会福祉を公的責任から「自助・共助」へと進める国策の流れであることは明白です。
 具体的に生活扶助費の減少幅を見てみると①夫婦と子一人の世帯(都市部)で17.2万円から15.6万円に1.6万円減少 ②夫婦と子2人の世帯(同上)で22.2万円から20.2万円に2万円減少 ③母と子一人の世帯(同上)で15万円から14.1万円に0.9万円減少となっています。子どもの数が多いほど大きく、子育て世帯に過酷な内容といえます。
生活保護世帯における「貧困の連鎖」は以前から問題とされ、その解消にむけ昨年報告された「生活支援戦略」では、学習支援の強化などの方策をとろうとしました。しかし、このように子育て世帯への現金支給を大幅に減額することは明らかに矛盾している流れです。こうした引き下げが実施されれば、生活保護世帯の子どもたちは、ますます厳しい状況に追い込まれ、生活保護から脱却することができず、「連鎖」が強まることは明らかです。20~40歳の単身者(都市部)の場合では、7千円の削減となっています。生活保護利用者にとって、7千円の減額は、単身者なら一週間の生活費に相当するほどの極めて「大きな」金額です。より費用のかかる多人数世帯で2万円にも及ぶ減額となれば、暮らしへの影響は計り知れません。
 親が十分に働くことのできない事情や子どもの障害や病気の有無などに対しての配慮もなく、単に数字の比較で一律の引き下げを行えば、この間社会問題化している餓死や心中といった悲惨な事件が繰り返されることは火を見るよりも明らかです。段階的引き下げなどという小手先の激変緩和措置を行っても、現実の生活における困窮度は確実に増すでしょう。

★市民生活に大きな影響★
 生活保護利用者だけでなく、国民生活全般にも大きな影響を及ぼします。最低賃金、就学援助・地方税非課税・保険料減免等の基準も連動して下がり、低所得者層全般の収入減(負担増)となります。
 言うまでもなく生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、我が国における生存権保障の水準をきめる「ナショナル・ミニマム」です。生活保護基準が下がれば、最低賃金の引き上げ目標額が下がり、地域によっては最低賃金そのものが下がって、働く人の所得とくらしに大きな影響を及ぼすことにもなります。
 また、生活保護基準は、地方税の非課税基準、介護保険の保険料・利用料や障害者自立支援法による利用料の減額基準、就学援助の給付対象基準など、福祉・教育・税制などの多様な施策の適用基準にも連動しています。
 生活保護を利用している人の生活レベルを低下させるだけでなく、今や国民の多数を占めるに至っている低所得層の収入減(負担増)を招き、市民生活全体に大きな影響を与えます。
 低所得層には貯蓄する余裕がなく収入のほとんどを消費に回すため、低所得層の収入減少は消費の減少に直結します。すると、デフレを理由に生活保護基準を引き下げながら、さらなるデフレを招くという負のスパイラルに陥ることは明らかで、経済政策としても愚策といわざるをえません。
 自民党や田村厚労相は、就学援助への連動に対する批判の声が強いことから、こうした制度へ波及しないよう努める旨を発言しています。しかし就学援助の制度でいえば、すでに地方自治体にゆだねている制度なので、元の国庫補助が回復されることは考えられません、地方交付税も予算案では削減されていますから、地方が対応しきれないことも明らかです。

★生活保護制度の見直しも★
 生活保護制度の見直しにおいても、深刻かつ危険な動きが出てきそうです。生活保護基準の検証、並行して社会保障審議会に設置されていた生活困窮者の支援の在り方に関する特別部会は、本年1月25日に報告書をとりまとめました。同報告書では、生活保護制度の見直しについて、3~6か月の期間を定めて集中的に就労支援(指導)を行い、希望の職種につけない者については地域や職種を変えて就職活動をすることや、低額でもまず就労することを基本とすべきとうたっています。
 例えば3か月経過しても希望の職に就職できない者に対して、本人が希望しない就職先が他地域にあるから転居して就職活動をするよう指導指示をし、これに従わないことを理由に指導指示違反で保護を廃止するといった「形式的かつ厳格」な運用が行われることが危惧されます。
 また450億円の保護費削減という数値目標が設定されたことによって、厚労省や会計検査院による監査強化の中で、この危惧が現実のものとなる危険性が飛躍的に高まっています。
 「生活保護を受けている人たちは、ちょっともらいすぎではないか。」低所得者との比較の中で、こうした意見が出てきます。しかし、この水準が下がれば、低所得者への援助策も切り下げられます。「生活保護を受けて贅沢している。」こうした話題もよく出ますが、いわゆる「不正受給」の割合は件数で約2.2%、金額では0.4%にとどまっています。もちろん不正な受給者は許されるものではありませんが、このことにより生活保護の利用が、「悪」のイメージとつながってしまっては、最低限度の生活を国が保障する責務があるという論理が、ないがしろにされてしまいます。

★公的責任の投げ捨て★
 振り返れば、第一次安倍政権のもと、2007年度予算で生活保護の「母子加算」の縮小・廃止などを強行し、貧困と格差の拡大に拍車をかけました。国民を苦境に追い込んだ誤った政策を反省することなく、さらに全面的な削減を行おうとする安倍政権の姿勢は、くらしの底上げを求める国民の願いに真っ向から反するものです。
 憲法25条の生存権は、すべての国民に「人間らしい尊厳ある生活」を保障することを国に求めています。兄からのわずかな援助を理由に生活扶助を打ち切ったことの違憲性を問いた「朝日訴訟」の一審判決は、国の措置は憲法違反と判断し、〝ときどきの予算配分で健康で文化的な最低限度の生活水準を左右してはならない〟と、生存権保障の国の責任を明言しました。〝財政的理由〟で保護費を削り、生存権を脅かすことは、国が国民を切り捨てるものであり、断じて許されるものではありません。
 政府は、社会保障制度改革推進法に基づき、今年の8月をめどに「国民会議」が答申をまとめます。生活保護、介護、医療、少子化対策について、公的責任を投げ捨てる方向での具体的施策がまとめられることとなっており、この流れも予断を許しません。
私たち社会福祉施設経営者同友会は、生活保護費削減に反対、権利としての社会保障・社会福祉を守る立場です。会員のみなさん、憲法に保障された命とくらしが守られる社会の実現にむけて、広範な方々と連帯し、一層奮闘していきましょう。

新年を迎えて ~「変えていく」力を積み重ね、憲法守る大切な年に~

2013年1月1日

会長 茨木範宏

 あけましておめでとうございます。皆さん新しい年をどんな思いで迎えられましたか。
 昨年末に行われた総選挙は、国民が真に求める社会のあり方、それは決して改憲や国防軍の創設などではなく、社会保障の充実と雇用の確保であり、脱原発と震災復興だったにもかかわらず、その思いが選挙制度の矛盾とマスコミの幻想や幻滅のイメージづくり、そして民主的な勢力の主体的な力量の課題も含め、自民党の圧勝という結果に転換してしまいました。「変わらない」ことにがっかりもするのですが、しかしこの間示された脱原発やTPP反対、保育新システム反対などの国民の声と行動は、確実に主権者としての国民の成熟を示しているものと感じます。
 湯浅誠さんが、昨年7月に「AIBO(あいぼう)」という団体を大阪で立ち上げ活動をされる中でこのようなことを言われています。「ヒーローを待っていても世界は変わらない。誰かを悪者に仕立て上げるだけでは、世界はよくならない。ヒーローは私たち、なぜなら私たちが主権者だから。私たちにはできることはたくさんあります。それをやりましょう。その積み重ねだけが社会を豊かにします。」
 そういう意味では、社会福祉事業の運営管理を行う私たちは、その自覚と責任をもち、利用者・地域が求めている役割をはたす、そのための活動を積み重ねることで、「変わらない」のではなく「変えていく」力をつけなければならないのかと思います。
 同友会ではこの間、新人管理者研修をはじめ、その力をつけるための取り組みをさまざまに工夫し展開してきました。これからも引き続いて、それらの取り組みに会員の皆さんの積極的・主体的な参加をお願いいたしますとともに、日本国憲法に裏打ちされた「権利としての社会保障・社会福祉」を守る運動をすすめることで、憲法を守る大切な一年に、同友会としても力を尽くしていきたいと思います。

広範な国民との共同で、この秋元気に運動を創りあげていきましょう!

      ~「社会保障制度改革推進法」について考える~

2012年10月5日

福祉同友会事務局長  室井宏文

 10月に入り、秋らしい爽やかな空気を感じることができる季節となってきました。地域では秋祭りが行われ、運動会、体育祭、文化祭、学園祭といった催しが執り行われています。しかし、そんな催事をゆっくりと楽しむことができないような国民にとって大きな不安を与える事態が、この夏から秋にかけて様々におこりました。大飯原発の再稼働や新たな原発建設の再開、オスプレイの強行配備、尖閣・竹島をめぐる領土摩擦問題など‥。政権公約を投げ捨てた民主党政権が行き詰まりを迎えた中で新たに発足した新野田内閣、そして野党自民党の代表選挙では以前政権を放り投げた安倍氏が再度代表に選ばれるなどの状況は、国民のくらしを最優先するといったあたりまえの政治から大きく逸脱し、大企業優遇、米国へのすり寄る姿勢が顕著となって表れている結果だと思います。
 こうした自主性欠如の政治の迷走状態の中で成立した「税と社会保障の一体改革」関連法と「社会保障制度改革推進法」は、私たちの仕事と暮らしに大きな影響を与え、一層深刻な事態を招くものとなりそうです。国民世論を無視した民主、自民、公明の三党合意(密室談合)により成立した経過は、まさしく議会制民主主義を破壊するものですが、消費税増税による国民の経済的負担の増加と予想される日本経済の低迷は、一層国民のくらしを深刻化させるものとなるでしょう。またその使い道が、復興支援を口実にした巨大開発や無駄な公共事業の推進であることも明らかなものとなってきています。
国民にほとんど知らされていませんが、私たちの事業経営や今後の社会保障の行方に大きく関係する「社会保障制度改革推進法」(以下、「推進法」)について考えてみたいと思います。
「社会保障制度改革国民会議」の設置
 1990年代半ばより進められている社会福祉基礎構造改革ですが、「格差と貧困」を深刻なまでに拡大したのは、2001年から推進された小泉「構造改革」でした。小泉「構造改革」は、01から07年にかけて「骨太方針」と称し、毎年2200億円もの社会保障への公費負担を削減させ、連続的に医療、介護、年金、生活保護などを改悪しました。さらに、2025年をメドに、医療・介護、年金の大幅な抑制をねらった設計図を描いていました。一度は政権交代で潰えたかに見えたこの設計図を復活させ、しかも法律化し、政権が変わっても実施を推進させるというのが今回の「推進法」です。
 「推進法」の「目的」では、「安定した財源を確保しつつ受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため」に、「社会保障制度改革」を行うとしています。この「改革」を推進するために設置されるのが「社会保障制度改革国民会議」です。「安定した財源」とは、消費税収入です。社会保障の財源に消費税増税による収入をあてるとしています。そのうえで、「受益と負担の均衡」ということで、受益者負担を基本としています。
 社会保障の給付は、個人の利益ではなく、憲法が定める「基本的人権」、なかでも「人間らしく生きる権利(生存権)」を実現するための国家による保障のはずです。目的そのものが社会保障制度をゆがめてしまうものがこの「推進法」です。
増税か社会保障の切捨てか
 「基本的な考え方」では、4項にわたって書かれています。1項では、自助・共助・公助の最適バランスに留意しつつ、「国民」の「自立した生活」を「家族相互、国民相互の助け合いのしくみを通じて支援していく」としています。これは、「自助・自立」を基本に、「自立した生活」を家族や国民相互の「助け合い」によって支援することが社会保障だとしています。この考え方では、社会保障・社会福祉に対する国の義務を否定し、公的責任を投げ捨てるものといえます。失業をはじめ、病気や老後の備えはすべて家族の支えのもと自分の責任で行えというものであり、頻発している「餓死・孤立死」も、本人とその家族の問題と言わんばかりの理屈です。
 2項では、社会保障の「機能の充実」「給付の重点化」「制度運営の効率化」を「同時に行なう」として、「負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現する」としています。「一体改革」の一環として、今年4月2日に実施された診療報酬・介護報酬の同時改定では、それぞれの給付費の抑制を最大のねらいとして実施されました。「医療から介護へ、施設から在宅へ」というのが、「重点化」「効率化」の具体化の方針です。
 3項では、年金、医療、介護は、「社会保険制度を基本と」するとしています。これは、国民が支払ったそれぞれの保険料の範囲で給付を行う仕組みにするということです。さらに、「国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とする」とし、国と地方の社会保障への負担の限りない削減をねらったものです。
 そして4項では、削った公費負担も消費税収入を「主要な財源」とするとしています。だれもが人間らしく生きられるという権利が憲法では保障されています。いのちを守り、だれもが人間としてのくらしができるように保障されなければなりません。所得の低い人ほど負担割合が高い消費税を財源にするという方針は大問題です。また、消費税が主要な財源ということになれば、社会保障を充実するためには消費税をあげる、増税がいやならなら社会保障をいっそう切り捨てるという、増税か社会保障の切り捨てかの二者択一が迫られることも明瞭です。
「社会保障こそムダの宝庫」
 目的も目的なら、基本的な考え方も考え方という、最悪の法律です。しかも「国の責務」は「改革の施策の策定」とその「実施」とし、憲法第25条でうたう社会保障に対する国の本来の責任・責務を投げ捨てています。また、これらの具体化については、内閣総理大臣が任命した20名の委員で構成する「社会保障制度国民会議」に審議をゆだね、この1年間かけて検討していくことになっています。このことについては日弁連会長も「民主主義の観点から不適切」と指摘しています。
 「推進法」の審議の中で、自民党の議員は「自民党の哲学が貫かれている」と称しました。民主党前政調会長の前原氏は「社会保障こそムダの宝庫」と国会で発言しました。日本経団連は「消費税は2015年度に19%になるよう17年度から毎年1%ずつ引き上げること」「現在38.01%の法人実効税率を25%に引き下げること」「社会保障給付は毎年自然増分を2000億円抑制すること」などを提言しています。まさに憲法を否定し改憲を目論む国会議員と財界の要望に沿った「推進法」であることは明らかです。こうした法律が今後の社会保障の枠組みを規定するのですから、これからの取り組みがとても大切になってきます。私たちは、社会福祉事業経営に携わる立場から、「餓死」「孤立死」「自殺」「心中」「殺人」などが蔓延する社会になることを看過するわけにはいきません。
国民の生命とくらし・権利をまもる運動を
 9月7日には2013年度政府概算要求がまとめられましたが、私たちが対象とする国民の生命とくらし・権利を守るための運動はこれからです。反原発の運動にも学びながら、多くの国民に社会保障・社会福祉の実態を伝えつつ、広範な国民と共同し創意工夫ある運動を繰り広げていけるよう元気に奮闘していこうではありませんか。ともに頑張っていきましょう!

地域主権と大阪府第2次財政構造改革プラン

「地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めることのできる地域社会」
誰もが賛成する「言い回し」である。
先の政権与党も熱心だったが、民主党はもっと熱心である。
大阪府の橋下知事にいたって、熱心どころの範疇ではなく驀進・猛進である。
大阪府では、市町村への権限委譲が着々と進んである。
社会福祉法人や社会福祉施設の認可・指定・監査などもこの2~3年以内にすべて市町村に委譲されるだろう。
市町村によっては、今年度中の委譲もささやかれている。
一方、本年6月、大阪府は第2次(23年から25年)財政再建プログラム(PT)「たたき台」を公表した。
「理念・目的」は①地域主権で財政構造の抜本的改革②収入の範囲内で予算を組む。
具体には、400の事業を評価した。大阪版事業仕分けである。
評価の視点は、他府県との比較に重点が置かれ、大阪府のみが行っている事業は廃止である。
これまで、大阪府には住民の要求に応え様々な制度をつくり他県に誇れるものがあった。
しかし、橋下知事の第1次財政再建プログラクム(20年から22年)で多くが廃止された。
もう、今では国基準以上の制度はわずかしか残っていない。
今回のPT「たたき台」では、「わずかなもの」をもなくす計画である。
それどころか、地域主権を御旗に「国基準はなくせ!」「地方に決めさせろ!」と先頭になって国に発信中である。
そして、府の権限は市町村に委譲する。大阪府の役割はもうないのか?と思ってしまう。
今回のPT「たたき台」は、今月には、知事が決定し9月議会で審議される予定である。
9月議会に注目しよう。

いったい、この政権は、どこへ向かうのか

自立支援法一部改正案に断固反対

廃止されるはずの障害者自立支援法が、昨日、超党派で改正案が提出され可決の見通しとのニュースが報道されました。
内容は、今国会に、自民、公明が提出している改正案にとほぼ同じようです。
障害者自立支援法廃止し新たに障害者福祉法制定するための、障がい者制度改革推進会議の動きが進んでいる時に突然でてきました。
まったくの突然です。つなぎ法案といっても時限立法としての法の終期も明記されていません。
廃止が決まっている悪法の延命につながりかねません。
障害者自立支援法違憲訴訟弁護団は、基本合意文書で確認された「障害者自立支援法を廃止し、平成25年8月までに制度の谷間をつくらない新しい法律を十分に当事者の意見を聞いてつくる。」とした姿勢に真っ向から反する看過できない重大な事態です。と緊急抗議声明をだして改正案の廃案を求めています。
障害者自立支援法制定における、拙速すぎた。当事者の意見を十分聞いていなかった。いう過ちを言葉では認めながら、今回の態度は障害者問題を国会の政争の具とするものです。
政権交代があり多くの関係者は期待しました。
しかし、この政権もどこかおかしいぞ!と多くの人が思い始めています。
「新しい公共」円卓会議で議論されたいる『既存の社会福祉法人などの福祉団体は補助金漬け、・・・・・・』と切り捨てて、社会事業法人が必要。とする動きもあります。
国民の多くが、この政府はどこにたどりつくのか?と危険を感じ始めています。
以下毎日新聞報道記事 5月26日

<障害者支援>つなぎ法案、議員立法で今国会成立へ
福祉サービス利用の原則1割を自己負担する障害者自立支援法の廃止を巡り、新制度開始までの暫定的な現行法改正法案が、超党派による議員立法で今国会に提出され、成立する可能性が強まった。障害が重いほど負担も重くなる「応益負担」から、支払い能力に応じた「応能負担」にし、発達障害を同法の対象と明記するなどの内容。
現政権は13年8月までに自立支援法を廃止し、新たな障害者福祉法制度を開始させる予定だが、障害者団体から「それまでの間どうするのか」との懸念の声が上がっていた。
改正法案は「障がい者総合福祉法ができるまでの間の障害者自立支援法改正案」(仮称)。障害程度区分によるサービス内容の決定前に、本人の希望を反映させる「セルフケアマネジメント」(仮称)の仕組みを導入するほか、仕事などをしながら少人数で暮らすグループホームの障害者に対する家賃助成なども盛り込まれる見込み。【野倉恵】

社会福祉施設経営者同友会

2010年5月27日

高齢者・障害者の生活施設での火災をなくすために

 3月13日未明、札幌市の認知症高齢者グループホーム「みらい とんでん」で火災が起き、7人の入居者が焼死しました。本来、安心で安全なはずのグループホームにおいて、命を失った方々に心からお悔やみを申し上げます。
 この間、06年長崎県のグループホーム「やすらぎの里さくら館」の火災をはじめ、08年神奈川の障害者グループホーム「ハイムひまわり」の火災、09年群馬県で起きた有料老人施設「静養ホームたまゆら」での火災など、火災が原因での死亡事故が後を絶ちません。こうした経験を真摯にふりかえり、教訓を生かし、二度とこのようなことが起こらないようにしなければなりません。

 火災には出火原因があり、火事を未然に防ぐ努力が施設および職員には課せられています。暖をとるための機器、調理における火器、漏電やたこ足配線、たばこの吸い殻の始末に至るまで、危険を予知し、マニュアルに基づく火の元の点検を怠ることの無いよう、日常不断の積み重ねが必要です。施設関係者は、人の命を預かるものとして、注意と点検を繰り返す義務があります。
各種マスコミが、施設の防火管理体制や職員の避難誘導の在り方を問う報道を行いましたが、施設関係者はこのことを重く受け止め、火災防止に一層の努力を行わなければなりません。

 グループホームに見られるように、各種小規模な生活施設では、ひとたび火災が起きれば、被害が甚大に至るということが、明らかになりました。小規模施設は大規模施設と比べて、防火設備や建築構造上の規制が甘く、火の回りが早い木造建築物や、避難誘導上の問題点を抱えているものが少なくありません。「やすらぎの里さくら館」火災の後、スプリンクラーの設置や自動火災報知設備等の義務付けを強化しましたが、すべての施設に適応されるものではありません。また、各種補助を受けたとしても、脆弱な経営基盤しかもたない小規模施設において、各種防火設備を整えることは困難です。
 国が安全基準を緩和し、政策的に小規模な生活施設を爆発的に増やしてきた経緯から考えれば、こうした施設配置を許してきた国の責任は重く、直ちに必要な改善にかかる補助を例外なく整備する必要があります。

 高齢者のグループホームでは、高齢者9人にまでは夜勤者を1名配置、また、障害者のケアホームでは夜間職員を置かなくてもよい等の、職員の配置基準も被害を拡大させた要因です。火災を起こさないための見守り、また、火災が起きた時の初期消火、誘導を行う上で、どんな時間帯であっても複数名の職員が必要です。職員配置の基準は火災だけでなくすべての利用者の安全上の要です。職員配置基準の改善は必至です。

 介護や見守りが必要な方々の生活施設において、二度とこのような火災事故を起こさないために、施設や職員の防火管理体制を問うだけでは不十分です。各種設置基準の強化と、それに見合った補助を早急に行うことと、火災を未然に防ぐ職員の配置基準を引き上げ、全ての時間帯に複数名配置することを国の責任で直ちに行うことを求めます。

社会福祉施設経営者同友会

2010年4月20日

保育制度改革問題で、民主党・社民党に要望書を提出、懇談をしました。

同様の主旨で3月2日に大阪府社会福祉協議会にも申し入れ、懇談を行いました。
要望書の内容は下記の通りです。(PDF版)
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今こそ 業種・立場を超えた共同行動の拡充発展を

 昨年8月の選挙で民主を中心とした政権に交代しました。これは、自公政権による「構造改革」路線と市場原理、新自由主義、格差社会からの転換を求めた国民の審判でした。ところが、鳩山政権は、市場原理主義で規制緩和を推進する一方で、前政権からの路線転換を唱えるなど、迷走が目立ち明るい兆しは見えてこない状況にもあります。
 政権交代で切り開かれた転換へのチャンスをいかに活かすかが問われています。
 そんな中、新年にふさわしい朗報が届きました。
■ 歴史の扉をこじ開けた原告たち・・・これからが本当のスタート
 2010年1月7日、障害者自立支援法訴訟の原告は政府との間で「基本合意文書」を交わした。これにより、今後この訴訟は終結に向かうことになる。2005年10月31日に全国の障害のある人と関係者の切実な思いを踏みつぶすようにして成立したこの法律の廃止を政府が文書で表明し、原告と確約をしたのである。2008年10月31日の第1次提訴、2009年4月1日の第2次提訴、2009年10月1日の第3次提訴と続いた原告は14の地裁で71名にも及ぶ。この原告たちの勇気ある決意と行動が、重い重い歴史の扉を押し開いたのだ。
・・・そして最後に、残された課題は今後の運動の課題として引き継ぎつつ、訴訟に傾注してきたエネルギーを今後は新たな法制度作りに向けることを決意したのである。
・・・最後まで「ひと固まり」で進むことを堅持したことによってもたらした歴史的な成果である。そして更に忘れてはならないのは、この歴史的成果は約5年に及ぶ全国の障害のある人たちと関係者の「自立支援法反対」「応益負担はいらない」という大運動が勝ち取った成果でもあるということだ。
・・・この3年の間に福祉支援の利用をストップして家に閉じこもった人や、将来の展望を見失い福祉の職場から去って行った支援者、そして心中事件などで失われた命など、取り返しのつかない被害が実際にあったことを思うと、「もっと早く今の局面をつくりだすことができていれば」という痛恨の思いがこみ上げてくる。こんな思いを胸に抱えつつ、私たちはこれから新しい歴史の出発点に立ったことになる。新たな制度作りに直接関与するという、これまで経験したことのない未知の世界に足を踏み出すのである。
 障害のある人の願いを真ん中にして、きょうされんがこれまで蓄えてきた実践と政策検討の到達を新制度に反映する絶好の機会が到来した。原告が言うように、「今からがスタート」なのである。(「きょうされん」HPより抜粋)
■ 保育を巡る情勢は激変
 障害者自立支援法の動きとは全く逆に、保育制度改革は一気にすすめられようとしています。
 二つの専門委員会で詳細検討がされていた「新しい保育制度案」が、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(09年12月8日)にそっくり盛り込まれ、制度改革が政府の方針として明らかにされました。具体的には、公的契約制度・利用者補助方式の導入、株式会社・NPO参入を促進する指定制度の導入、会計基準の見直し、幼保一体化の推進などで、「平成22年前半を目途に基本的な方向を固め、平成23年通常国会までに所要の法案を提出」するとしています。
 保育所最低基準は、「地方分権推進計画」(09年12月15日)で地方条例化するとされ、「地域主権戦略の工程表」(原口プラン)では、地域主権推進一括法(第1次)を今年の3月に提案することになっています。
 民間保育所運営費の一般財源化問題は、多くの関係者の運動で2010年度については回避されましたが、来年度の予算編成過程で、「地域主権」を進める観点から補助金の一括公付金化や国と地方の経費負担のあり方を検討することが12月23日四大臣で合意されています。そして、12月25日の「平成22年度地方財政対策の概要」では、平成23年度以降のイメージとして、子ども手当ては全額国費、子育て政策は地方でという図が示されています。これらは今後、地域主権戦略会議で検討されます。
 民主党は先の衆院選マニフェストに幼保一体化に向けた「子ども家庭省」の設置を掲げている。1月27日の参議院予算委員会で、鳩山首相が、中央省庁のあり方について「参院選の後、幼保一体化(幼稚園と保育所)のみならず他の部分も含めて省庁全体のあり方を見直すのが必要だ」と述べ、今夏の参院選後に中央省庁の再編を検討する考えを示しました。 
 1月29日、財界の要望を取り入れた「子ども・子育てビジョン」が閣議決定され、認可保育所の定員を毎年約5万人ずつ、5年間で計26万人増やすと報道されました。しかしこれは一層の規制緩和と保育制度改革で定員増をしようというものです。
 このように、保育制度改革は、国会での予算審議と合わせて急展開する恐れがあります。特に7月の参議院選挙までの活動が問われています。
 いま改めて、自立支援法訴訟の基本合意から教訓化することが肝要です。そのためにも、「基本合意文書」と訴訟団のコメントを一読していただきたいと思います。
■ 国民的な共同で抜本的な政策転換を迫る運動を
 今年は社会福祉法が成立して10年であり、見直しの年でもあります。また、介護保険制度も同様で10年の検証が必要です。
 福祉同友会結成時の基本方針でもある「経営の三原則」(①利用者の生活と権利を守る。②働く職員の生活を守る。③法人・施設の経営を守り発展させる。)を基本に、今日、各分野に現われている諸問題と運動の到達を明らかにし、多くの関係団体とも共同した諸活動を進めなければなりません。そのために、介護保険制度10年の検証、障害者の新しい制度、そして児童福祉法及び保育所制度の在り方等について研究者も含めた関係団体との意見交換と政策提言などを含めた対策と運動の在り方を構築し、情勢に応じた社会福祉法人及び施設・事業所間の連携が必要と考えます。
 利用者を含めた大阪、全国(中央)での共同行動を発展させるために、大阪では「福祉問題検討会」での検討、全国では、5月29日に利用者を含めた福祉関係者の共同行動(集会)が計画されています。
 障害者分野での運動の到達と成果、今までの運動のエネルギーを新たな運動に継承発展させるという当事者の決意を受け止め、今こそ各分野が共通する問題点を明らかにし、抜本的な制度・政策の転換を求める共同を発展させること、政権交代で開かれた転換へのチャンスをおおいに活かす事業と実践、運動をすすめる時です。
 今年は同友会結成25年の年です。その年にふさわしい活動と成果が得られるよう、会員のみなさまのご協力と奮闘を訴えます。

福祉同友会会長 中村公三 

『福祉経営』NO.161  2010年2月号

保育所の最低基準廃止に関わって緊急要望をする。

社会福祉施設経営者同友会は、保育所の最低基準を廃止することに反対です。このたび、長妻厚生労働大臣に緊急要望を行いました。 File not found: "保育 要望書.doc" at page "直言"[添付](2009年10月)

新政権誕生・・自立支援法廃止で未来は明るいか?   

自立支援法廃止の大臣発言に、なんとなく心が浮かれた気分で10月20日東京に着いた。
ところが、東京の風にあたり浮かれ気分が一気にさめて怒りがこみ上げてきた。
研修会での行政説明(厚生労働省)がその原因だ。
説明では、
自立支援法廃止は、すぐにはならない。当面、法改正を必要としない財源措置でいくことになるだろう・・・・・・。ここまでは、理解できる。ところがこの後の説明がとんでもないものだった。
今までに何回もみた(見せられた)パワーポイントが次々に映し出された。
「自立支援法のポイント。」「昨年の社会保障審議会障害部会の報告。」「今年廃案となった改正案。」などの説明が延々とつづいた。
そして、新しい法律は、当然、自立支援法の理念を生かしたもので、多くのみなさんの意見を聞いた昨年の障害部会の報告がもとになり方向性は、なんらかわらず・・・・と自信満々で説明された。
自立支援法は過去のもので自民党政権の残骸だ。なんて思ったら大間違いなのだ。
そもそも、この法律は厚生労働省が草案し、政権与党の了解を得て成案したものだ。
政権が変っただけだ。厚生労働省は何ひとつ変っていない。
法を根本から変える気などさらさらない。口うるさいところだけ手直し程度ですます腹づもりは明らかだ。
自立支援法は何が問題なのか?厚生労働省からは絶対出てこない。
福祉を商品化し、公的責任を放棄した福祉の基礎構造改革が根本的過ちなのだ。
『さようなら!自立支援法。つくろう!わたしたちの新法を。』10月30日の全国フォーラムを成功させる意義はきわめて大きい。
障害分野が変れば、高齢、保育など日本の福祉が生き返る。

2009年10月23日 投稿 N

楽観はできない!が、自立支援法違憲訴訟に光

自立支援法違憲訴訟で国はこれまでの争う姿勢を中断した。
被告側(国)24日広島地裁での口頭弁論で新政権の方針を前提に検討するための「時間的猶予を3カ月程度ほしい。」と述べた。 以後、各地の訴訟でも同様の対応が始まっている。
これまでの争う姿勢からの方針転換と、マスコミは一斉に報道したが厚生労働省内部の巻き返しも予想されるので楽観はできない。が大きな1歩であり光がさしてきたのは間違いない。
厚生労働省はしたたかである。「ハートピアきつれ川」問題でも主役は全家連でも全精施協でもない。「厚生労働省」だ。自らが計画、先導し事を起こし、解散、譲渡、解散、売却のシナリオをえがきながら「あめ」と「むち」で障害者団体をあやつり税金を垂れ流した結果と思えてしかたがない。
自立支援法をめぐっては廃止後の新制度の中身が問題である。現時点ではまだ霧の中である。
障害者、関係者は目先の利害にまどわされ厚生労働省の分断攻撃に決して乗ってはいけない。
すべての関係者が共同して新制度の中身をつくることが求められている。

朝日新聞報道記事 2009年9月24日

障害者自立支援法、違憲訴訟で係争方針変更 国側示す
 福祉サービスに応じて障害者に原則1割の自己負担を求める障害者自立支援法は、憲法が定める「法の下の平等」に反するなどとして、広島県廿日市市の夫婦と広島市の男性が国や市に負担の取り消しなどを求めた訴訟の口頭弁論が24日、広島地裁(橋本良成裁判長)であった。被告側は、全面的に争うこれまでの方針を転換する考えを示した。
 長妻昭厚生労働相が同法の廃止を明言したのを踏まえての判断。今後国は、各地の地裁で係争中の訴訟でも同様の対応をとるとみられる。
 被告側代理人はこの日の弁論で、予定していた準備書面の陳述を取りやめ、「新政権が支援法を廃止し、新たな制度をつくると言っており、その方針を前提に検討する必要がある。時間的猶予を3カ月程度ほしい」と述べた。
 廿日市市の原告秋保(あきやす)和徳さん(58)は「厚労相が支援法を廃止すると明言し、司法の場にも変化があったことは一歩前進。ただし問題は、国がどんな制度をこれから組み立てていくかだ。尊厳ある暮らしをしたいという私たちの希望に沿った制度が保障されるまで、国に働きかけていきたい」と話した。
 日本障害者協議会の藤井克徳・常務理事は「障害者が尊厳ある人間として社会生活を送りたいと求めてきた闘いに光が見えてきた」と評価したうえで、「支援法にかわる新制度で障害者の所得保障などが実現することが課題」と話した。(森本美紀)

2009年9月27日

政治の転換はみんなの願い。真に実現するために新たな運動の視点を!

「民主 政権奪取」(毎日)、「日本の政治にとって大きな前向きの一歩」(赤旗)、8月31日朝刊の大見出です。まさに歴史的な大転換です。単独過半数を自民党以外の政党が獲得したことは日本の政治史上初めてといわれています。それほど自公政権への不信が強く、一票でも多ければすべての議席を独占できるという小選挙区制度の結果でもあります。
同毎日新聞は、「自民党は郵政民営化を掲げた4年前の衆院選挙で大勝した。ところがホームレスになることが現実味を持って語られる格差社会が顕在化し、政権党の責任が問われ始めた」「未知が現実に変わる時、期待が大きいほど失望感が伴う」「国民は政権交代のリスクも覚悟の上で投票したはず」と暗に新政権への不安もにじませています。
同1日の朝刊は、改憲に対する新議員の考えを調査、「改憲「賛成」議員68%(内訳は、民主党60%、自民党94%)と報じています。05年の当選者と比べると16%減少したとはいえ、戦争政策とは共存できない私たちには見逃せない事実です。
政治の転換と暮らしの変化の連動を私が経験したのは、1971年の革新知事の誕生です。「老人や障害者医療の無料化」の実現等、暮らしに直結した施策が即実現しました。今度は、国政レベルの大転換であり、府政の比ではありません。予算の優先順位の付け方で施策を変える条件が出来たということです。
今後の福祉施策を民主党のマニフェストから見ますと、「国の責任で社会保障制度を維持発展」、「自公政権が『骨太の方針06』で打ち出した社会保障費削減方針(年2,200億円、5年間で1兆1千億円)は撤廃します。国民皆年金、国民皆保険を守り、求職者に対する新たなセーフティネットを構築します。」と基本方向を示した上で、「後期高齢者医療廃止」「障害者自立支援法廃止」「保育所の待機児童を解消」等国民の願いに応える個別政策も明らかにしています。
しかし、重要なことは、格差社会の元凶である「市場原理」の流れを転換させることです。その為には大きな国民運動が必要です。高齢、障害、子どもの施策のあり方全般を共に考えあう「共同の場」をつくり、統一的な要求を練り上げ、政治に反映させるための新たな運動の構築が求められています。

(福)コスモス 理事長 中内福成

大阪府は新型インフルで休業した施設の収入減に助成をしてください。

最近、死亡者まで発生し再度、新型インフルエンザが大きく取り上げられている。
高校野球やプロ野球では選手に感染が広まり試合にも影響が出てきている。
あと数日で学校が始まり集団生活が始まる。感染拡大の危険日が刻々と迫ってきている。

8月17日、神戸市は新型インフルエンザ発生時に休業する高齢者・障害施設への助成を行う。と新聞報道された。
詳細は未定であるが、公益性の高い社会福祉施設の安定化を図ることを目的とし、5月に発生した時点に遡って適応する。当然、今後、同様の事態が発生しても適応されると推測される。
神戸市の、社会福祉施設の公益性に着目している事。今後も視野に入れている点は大いに評価される。(参考 File not found: "index.pdf" at page "直言"[添付]

私達の大阪府の対応はどうか?
今年5月に感染者が発生し大阪府下でも北摂地域を中心に休業要請がだされた。
休業をした施設が休業による経営危機を訴え大阪府に助成を求めたが、大阪府は橋下知事が『映画館なども同様の損失があった。だから福祉施設だからという理由で損失補填はしない。』という趣旨の発言を行った。
損失に対する対策は何も行わなかった。今後も予定されていない。
付け加えると、国は補正予算の活用で助成することも可能。と通知し、大阪府以外の兵庫県も滋賀県も様々な方法で助成を行った。
大阪府下では市町村単位では、ほそぼそと支援をおこなったところもある。
くどいが、何もしなかったのは大阪府だけである。
橋下知事の社会福祉施設の公益性を認めていない。事が最大の問題である。
大阪府社会福祉協議会は、8月末に来年度予算要望を行う。そうである。
新型インフルエンザ対策も要望項目に入っていると聞いている。
橋本知事殿。
国に恒久的な保障制度を近畿知事会の一員として要望されておられますが、その趣旨にそって『福祉施設の経営を守るのが私の責務』と決意を示してください。
大阪府がこのまま何もしないなら、施設を守るために、休業要請をされても休業できない施設が出てくることは間違いないということを理解してください。

大阪府に『新型インフルエンザ問題」で要望、懇談

内容は、下記のとおりです。懇談内容は9月号『福祉経営」をお読み下さい。

2009年8月10日

大阪府知事 橋下 徹 様

社会福祉施設経営者同友会
会 長  中村 公三

新型インフルエンザ等(感染症)における
社会福祉施設および利用者への支援について(要望)

1.社会福祉施設の臨時休業時における利用者の保護についての対策を示してください。
 前回の社会福祉施設臨時休業により、利用者およびその家族は予定されていた福祉サービスを受けられず、大変な混乱が生じました。臨時休業中も多くの施設は、電話や訪問による状況把握や相談、時には代替支援を行うなど努力を行いました。その中で食事を摂っていなかった高齢者や自閉的傾向のある障害者が自宅でパニックを起こしているケースなどがうきぼりになりました。また、保育所の利用者は子どもを預けるところがなく、やむを得ず休まなければなりませんでした。
 感染拡大防止に留意しつつ、利用者にとって福祉を途切れさせない対応が求められています。また、そうした対応を休業中にも行う社会福祉施設の労働の評価も必要ではないでしょうか。

2.全ての種別、および認可・無認可の事業所に対して速やかに、かつ統一的な情報提供を行ってください。
 緊急時の対策は種別により異なることは、その対象者の違い等を鑑みあり得ると考えますが、認可されている施設には情報が早く届き、無認可には遅れることがありました。また、公立と私立が足並みをそろえることも重要だと考えます。

3.感染防止対策にかかる機材または物品を確保するための支援をしてください。
 感染対策にかかる消毒器等の機材、大量に必要なマスクやアルコールなど、通常施設で準備または備蓄しているものでは不十分です。急遽調達しようにも手に入らないということがおこりました。社会福祉施設において、病院並みの感染予防機材を揃えることは困難です。緊急時にはこうした機材や物品を提供するような物的・財政的支援を行ってください。

4.社会福祉施設内で感染者が発生した場合の支援をしてください。
 社会福祉施設内での感染予防対策は、環境面、設備面ともに病院並みではなく、不十分です。また、医療スタッフも少ないことから、治療・療養と予防を行いながらの介護を行うことは極めて困難と考えられます。集団感染から利用者を守る上でも、職員の安全を保障する上でも、適切な医療的支援を受けられるようにしてください。

5.事業所の休業による損失等についての補償等を行ってください。
 休業期間中においても、社会福祉施設職員は利用者の状況把握や必要な代替支援の検討・調整・実施など、利用者支援のための努力を行っています。こうした対応に対する経営的保障が必要です。また、各種感染症による休業等の措置は今後とも起こりうることであるので、介護保険予算、障害者自立支援にかかる予算の中で財政的補償が行えるように、国に働きかけてください。

2009年総選挙にあたって

さあ、政治を変えるチャンスがきました

 福祉同友会会員のみなさん
 7月25日から大阪で開催された41回保育合研には、全国から1万2,256名の参加で大きな成果がありました。集会には、同友会関係施設から2,344名と5歳児570名が参加しました。オープニングの5歳児と保育士・保護者1,200名による歌は圧巻でした。
 公的保育制度の崩壊の危機の中で、新自由主義・市場原理の政策は福祉現場にどのような問題をもたらすのか、公的保育制度を守り発展させることの意義や危機を打開するための関係者との共同づくりの必要性などが確認され、多くの保育関係者は政治を変えるエネルギーを持ち帰りました。
 社会福祉現場は、離職率が高く人材確保難にあります。その理由の一つに、「やりがいを持つのが難しいこと」と言われます。効率優先で利用者と楽しくおしゃべりすることが否定されてしまう仕事に変質しました。福祉は、その人の背景を知ることが大切であり、人と人の関わりがすべてです。人を大切にする政治をとり戻さなければ、社会福祉が崩壊してしまいます。
 今、多くの国民、社会福祉関係者は、くらしと福祉破壊の自公政治を変えたいと思っています。マスコミは、政権交代を焦点とした報道を行っていますが、今政治に求められているのは、雇用不安の解消、社会保障・社会福祉の充実、そして、ルールある経済社会の実現と世界に誇る憲法9条を守ることです。
 各政党がマニフェストを発表しました。政策議論は大いにやるべきですが、国民を主人公にした政策をしっかりと掲げている政党こそが真に政治を託せる政党です。
 福祉同友会会員のみなさん
 総選挙で、今の社会福祉現場、経営の実態を多くの人たちに知らせること。そして公的福祉制度をとり戻す最大のチャンスとしてこの選挙を積極的に取り組みましょう。
 本当に暑い時期ですが、福祉関係者・管理者が、くらしと政治、社会福祉のあり方を熱く語り、くらしと平和を守る政治への転換、政治を変える先頭に立って奮闘されるよう訴えます。

福祉同友会会長 中村公三 

『福祉経営』NO.155  09年8月号

介護職員等処遇改善交付金について考える

政府は、介護福祉現場で働く職員の労働実態や事業所の赤字(給与が安く将来への見通しがもてない。専門職であるにもかかわらず社会的評価が低い。劣悪な労働条件下にある。介護報酬の連続引下げで事業は赤字)等々の実態が明らかになる中で、関係者や国民的な改善要求により、やっと介護報酬の引下げ(3%)を実施した。ところが、3%の引き上げは底上げ要求ではなく、各種加算で対応した為、介護職員の実質的な給与の引き上げとはならず、多くの矛盾を露呈させた。こうした状況の中で、緊急経済対策として、「介護職員の処遇改善交付金」を予算化した。
しかし、今回の「交付金」は介護職員に限定したものであり、現場では多くの矛盾を抱えている。
政府は、「7月に都道府県で説明会を実施。8月に交付金申請」とのスケジュールを示したが、未だに説明会の日程は知らされていない。詳細が不明な中で、今回の交付金は、限定的な期限と介護職員のみの財政支援であり、福祉現場に新たな混乱・分断を持ち込むものである。
ある県では、6月に介護保険施設職員等人材確保支援事業募集説明会がもたれたようだが、説明の要旨は、半年間に64万円ほどの補助金がもらえる新たな制度、派遣切り対策であると説明されたようである。

  • その概要は、
    ①この事業は2年半の事業で、3年後には次の介護報酬改定でなんらかの反映がされる予定?。
    ②この交付金は障害福祉サービスも同様。
    ③3%の介護報酬改定で給与の改善を行ったところについてはそのアップ分が今回の交付金の算定に反映される。つまり、交付金の計算にあたっては4月にさかのぼって行われる。等である。
  • 厚生労働省は、10月からの実施で、8月末に申請と行っているが、実務担当者にさらに煩雑な実務を強いられる。
  • 今回の介護職員に限定した交付金については異議あり!
    介護(福祉)の仕事は介護現場職員だけではなく、全ての職員(調理員、看護師、事務員、相談員などの全職種)の連携・チームワークで業務は行なわれている。そうした現状からすると、今回の交付金の対象は介護現場職員に限定されたもので、他職種の職員との差別化・分断を生むものであり、とうてい納得できない。
    7月の説明会で、納得できる説明(提示)がされるのか?
    こんな交付金なら申請しませんという事業所が多く出るのでは?
    説明会での内容を待って対応すべきだとは考えるが、みなさんはどう考えますか?

    2009年7月 中村公三

新型インフルエンザ対策・・障害関係5団体が府に緊急要望

5月25日、大阪府に障害関係5団体が共同で緊急要望書を提出いたしました。

大 阪 府 知 事 橋  下  徹 様

新型インフルエンザについて状況報告と緊急要望

2009年5月25日

 新型インフルエンザの感染拡大防止のため、大阪府行政の皆様におかれては、昼夜を問わずご奮闘のことと感謝申しあげます。
 私ども障がい者支援事業所の多くも、インフルエンザ感染拡大の防止に取り組むべく休業をしており、休業中は、訪問や電話による確認をはじめ、家族介護が困難な家庭への支援や、家族の通院保障のための見守り支援、緊急ショートスティの利用調整など状況を把握しながら対応をしてまいりました。ご承知のとおり、障がい者授産事業所では、お客様からの納期や日々の注文をこなしていかなければならず、休業期間中については、職員で対応をすすめてきました。
 また、今回、単身で生活している障がい者に、充分に情報が行きわたっていなかったこともあり、今後において対応が必要と考えます。現在でもマスク着用や手洗いの徹底、体調チェック等行い感染の防止に努めておりますが、マスクの入手が困難になっている状態もあります。
 さる23日に大阪府では、都市機能の回復に向けた対応方針を決定され、学校をはじめ私どもも事業再開に向け動きだしたところでございます。
 こういった状況にあって、今後の感染の状況についての見通しがわからない中、休業が続く、あるいは感染地域が広がるという事態になれば、医療機関での対応等を含め、大きく影響が広がると思われます。
 さらに、障害者自立支援法による日割り単価が導入されたことから、休業した施設・事業所は今回、経営的に影響を受けることとなり、日割り単価の矛盾が明らかになりました。
 私たちは、大阪府行政との緊密に連携をしながら、今後とも感染拡大の防止等に努めてまいりますが、このたびのことを踏まえ以下の要望につきまして是非ご検討及び対応いただきますようお願いいたします。
                           記
1.障がいのある人たちが感染の疑いがあった場合また感染した場合の相談・治療・支援について不安を感じるので、障がいの種別によっての細やかな配慮をお願いします。単身の障害のある人たちへの訪問や相談については、情報が行き渡っていない事やマスク等感染予防備品の不足など、各作業所・事業所とともに行政関係者(福祉部・保健部のワーカー等)の協力を得られるようご配慮ください。
1.府下自治体によって対応等に格差が生じないようにつとめてください。
1.休業により障がい者本人のストレスや生活リズムに乱れが生じます。それに伴う家族による本人への支援にも限界が生じるので対応できる手立てを一緒に考えてください。
1.府下の臨時休業対象の小規模作業所・地域活動支援センターなど開所日数・人数カウントへの配慮や、日額払いとなっている日中支援事業所について休業期間中の運営補助などの補償をお願いします。また、それに対して余分な負担を利用者に求めないようにしてください。併せて各市町村に対して休業中の補償について格差のないようご指導をお願いします。
1.国に対して日中支援事業所等の休業中の運営補償、ならびに代替サービスとしての居宅介護等への補償も行われるよう大阪府として要望を出してください。また、国の対応が遅れる場合は、府として独自の対応をお願いします。
以上
緊急要望団体 ○きょうされん大阪支部 支部長 山本伸二 ○大阪知的障害者福祉協会 会長 安本伊佐子 ○大阪手をつなぐ育成会 理事長 藤田光司 ○障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 議長 楠敏雄 ○大阪府社会福祉協議会 セルプ部会 部会長 西山和幸 以上 5団体

インフルエンザ対策は現場目線で  

                障害者作業所の実態から訴える。  

兵庫県、大阪府では新型インフルエンザ対策に障害者作業所も追われている。
休業要請の地域も広がっている。
感染が確認された地域から近い市町村の施設は、『休業要請が下されるのは時間』だと戦々恐々としている。
本日(19日)、尼崎の施設から、明日から休業になりました。800万円収入が減少します。と連絡があった。
私の法人では1週間で600万円収入減である。
突然の施設の休業は利用者、家族のみなさんも大変な状況に追い詰めている。
福祉サービスを組み合わせることで生活がなりたっている利用者や家族が、1週間も、何の支援なしに暮らすことは容易ではない。
突然、『明日から休み』といわれても受けいれることができない利用者は家庭でパニックになる。
複数の家族から悲鳴の電話が初日からかかってきた。
2日目からは、自宅での対応が困難な方の受入れなど柔軟な対応を行っている。
障害をもった人は感染して医療機関で受診することも簡単ではない。
休業中、毎日、電話で感染しないよう手洗いなど注意喚起と健康状態の聞き取りを行っている。
家族からは、いつから通えるのか?といつも聞かれるが答えられない毎日である。
作業所では、突然の休業で利用者の給与になる『就労支援収入』が影響をうける。利用者の方の工賃を減額せざるを得ない事態に発展する。
グループホーム、ケアホームの昼間の支援は施設職員で対応しなければならない。
ホームの利用者の方も1日中、1週間もじっとホームだけで生活せざるをえないので大変だ。
そして、事業者にとっては休業期間の収入減は頭がいたい。
自立支援法によって、日額払いになった影響で休業期間中は収入が全くない。
休業要請といいつつ実質的には命令である。
行政は、感染を防ぐ責務がある。合わせて、休業要請で支援のパイプが突然切断された人への対策をうつ責務がある。
24時間の福祉相談や即座にかけつけることができる緊急支援体制づくりである。
事業者への休業補償を一日も早く決断することである。
噂話では、9割保障制度の活用などがささやかれているそうだ。
多くの、施設が自立支援法により事業移行を行い、分離、合体、定員増などを行っているので、制度上の9割保障では、実質6割程度になる実態がある。
さらに事業所によっては制度の対象にもならない。
実態を全くみれていないこんな方策は絶対容認できない。
バラマキ批判の強い補正予算はただちに撤回して、真に生きた金の使い方に改めるべきである。対策は、常に現場目線おこなわなけばならない。
そもそも、社会のセーフティネットである福祉を、市場に投げ出してサービス産業に組み入れた、基礎構造改革が誤りであった事を真摯受け止め舵を切り替える時である。

2009年5月19日

障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす運動にご支援を 

大阪でも障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会が立ち上あがる。

「障害者自立支援法」は「障害」があることによる社会的な支援を「益」であるとし、必要なサービスに「応益」負担を強制します。「障害があることは個人の責任」なんでしょうか。
今、全国8地裁で、提訴された、障害者自立支援法訴訟、大阪でも、第一次提訴で、5人、4月1日には、新たに6人の第二次原告が提訴を行い、利用料負担の不当性を問うて本格的な公判が展開されようとしています。
すでに全国的には、2008年10月27日「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会発足集会」が開かれ、全国から160名が参加して、この訴訟の勝利をめざして、支援活動が展開され始めています。
大阪でも11人の原告が立ち上がる中、是非この訴訟を支援しようと、準備会が結成され、その支援方法等の協議を行なうと共に、幅広い分野からの呼びかけ人を集ってきました。
こうして、4月4日、大阪市北区民センターに130名強が集い、「大阪障害者自立支援法の勝利をめざす会」が結成されました。
結成総会には、原告・弁護団をはじめ、各地域の団体・個人の支援者がつどい、この訴訟の意義と勝利への決意を固めました。
また、呼びかけ人を代表して、愼英弘さん(四天王寺大学大学院教授)は、「自立支援法は、三障害の一元化によって、ニーズにあったサービスを画一化し、福祉サービスの資本主義化によって、利用者負担を強化した。応益か応能かではなく、福祉サービスは原則無料であるべき、この訴訟は、司法・行政のいずれもでも勝利することが大切。」とこの訴訟の意義を強調されました。
【大阪めざす会結成呼びかけ人】(敬称略:4/3現在)
○ 藤本義一(作家)○大谷昭宏(ジャーナリスト)○愼英弘(四天王寺大学大学院教授)○牧口一二(NPO法人ゆめの風基金代表理事)○三田優子(大阪府立大学准教授)○松端克文(桃山学院大学准教授)○瀧澤仁唱(桃山学院大学教授)○山本敏貢(大阪千代田短期大学副学長)○清田 廣(大聴協会長)○辻 一(脊損協会長)○山口博之(大精連代表)大野素子(大家連会長)楠 敏雄(障大連議長)○大北規句雄(総合福祉協会理事長)○呉 光現(NPO精神障害者支援の会HIT理事長)○中内福成(障連協代表幹事)○河野直明(きょうされん大阪支部長)

アピールに賛同し、一口 500円 の ご支援をお願いします。

     障害児者施策への「応益負担」に強く反対し、
              「障害者自立支援法訴訟を支援する」5000人アピール
 2006(平成18)年4月より施行された障害者自立支援法(以下、自立支援法)により、施設やホームヘルプ等の支援の利用を受けるための負担の仕方が、それまでの所得に応じた応能負担から、一律に1割を負担する「応益負担」に変わりました。多くの障害者・家族が多額の利用料負担を強いられ、全国では約1,650人の障害者が施設を退所せざるをえなくなりました(厚生労働省調査)。
私たち障害者・関係団体は、2006年10月31日の、東京15,000人大フォーラムなど、全国各地で様々な運動を展開し、国会や政府を動かし、「特別対策」「緊急対策」等で、利用料負担の軽減策を実現してきました。しかし、法律上は、「応益負担」はそのままです。
 「応益負担」の仕組みは、どのような詭弁を弄しようとも、決して障害福祉に馴染む制度ではありません。マイナスからのスタートをする障害福祉等の社会的支援は、「普通の国民としての権利の保障」であり、『益』とは無縁のサービスです。さらにその影響は、様々な分野に波及してきています。利用者に負担を強い、少ない報酬や日額支払いにより、施設・事業所の収入が減り、そして、その影響が職員に及び離職者が増え、利用者に対する支援の質が低下しかねません。
 憲法は第13条で幸福追求権を、第14条では法の下の平等をのべ、第25条で、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を明記しています。そして第25条2項では、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めています。これによって日本の社会保障の体系が発展してきたといっても、過言ではありません。
 「障害者自立支援法」にみられるように、障害者施策や、社会福祉施策の方向は、憲法の理念を大きく踏み外すものとなっています。
「障害者権利条約」が発効しました。その基本はすべての人々の人権の確立であり、障害を理由とする差別の禁止です。この理念は、憲法の第14条「法の下の平等」と基本的には同じもので、憲法の下、国内法の見直しを激しくせまるものです。
 私たちは、この訴訟を支援し、障害者や社会福祉政策を根本から改めさせ、憲法に照らし合わせた施策の下、豊かな生活が営める制度の実現を求めるとともに、こうした願いを持つ多くの皆さんと共に、この思いを広げていきます。

アピールに賛同していただける方は

下記の内容をご記入いただき、FAX、メールで送付ください。
○資格  【 ・団体 ・個人 】(○をつけてください)
  お名前(又は団体名)
  肩書き
  ご住所
  TEL (    ) FAX (    ) 
  E-mail
○賛同金(1口500円)     口       円
※賛同金は、郵便振替でご送金ください。
      加入者名;きょうされん大阪支部
      口座番号;00950‐2‐287828
      ※通信欄に、『「訴訟支援アピール」賛同金』とご記入ください。
[check]お名前(団体名)の公表の可否 【 ・可 ・否 】(○をつけてください)
○「勝利をめざす大阪の会」ニュースについて
  メールで希望
  Faxで希望
  郵送で希望(但し、別途500円要)
  (連絡先)障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす大阪の会
  (事務局;きょうされん大阪支部)  
   〒558-0011 大阪市住吉区苅田5−1−22−201
           06-6697-9144  Fax 06-6697-9059
          E-mail:osaka@kyosaren.or.jp

要介護認定見直しに伴う経過措置「厚生労働省局長通知」に異議あり!

今なら「新認定方式」の中止・凍結で混乱は回避できます

4月17日付で「要介護認定等の方法の見直しに伴う経過措置について」(厚生労働省老健局長通知 老発0417001号)が出された。
そもそも、認定調査の見直しは、「適正な判定」の名のもとに、介護費用の削減を目的としていることが明確になったものである。
既報のとおり、認定結果で変更となった場合は、本人の申請で以前の認定で継続できるとしていたが、局長通知を見る限り、気になる点が多い。その内容は下記のとおりである。
1.まず、申請者に対して、従来の要介護度を希望するかどうかを聞く「希望調書」の様式及び「Q&A」が添付されている。
 「経過措置」がとられ、
 申請者に、更新申請以前の要介護状態区分を希望するかどうかの意思を確認し書面にする。また、重度に変わった場合と軽度に変わった場合とそれぞれの希望を聞くとしている。
 認定審査会で、更新以前の要介護状態区分の審査判定となった時は、で従来の要介護状態区分を希望している者は、その希望にもとづく審査判定とする。
 更新以前の要介護状態区分を希望しない者は、以前の区分と異なってもそのまま判定する。
 というもので、認定審査会での審査判定の結果が従前と違った場合は、「希望に基づき」従前の要介護で判定するとなっている。
 これでは、審査会委員の審査が無駄になり、厚生労働省に送るデータを作るための審査になるのではないのか。
 
さらに、「Q&A」では、
Q「今回の経過措置は、要介護認定方法の見直しを凍結することと同義ではないのか」といった設問も出てくる。

A 1 今回の経過措置は、安定的な介護サービスの利用を確保する観点から、従前の要介護度とすることを希望する申請者を対象に、その希望に応じ、認定審査会が見直し後の方法による要介護度が従前の要介護度と異なる場合、従前の要介護度とすることを可能とする措置であり、申請者から自らの状態等を勘案して従前の要介護度にする必要がないと判断すれば、見直し後の要介護認定の方法で判定された要介護度になるものである。

 2 一方で、市町村では、既に見直し後の要介護認定の方法による認定を実施しており、現段階で見直し後の方法の凍結といった大きな方針の変更を行うことは、要介護認定の実施自体に相当程度の遅れを生じさせてしまうことになり、かえって利用者にご迷惑をおかけし、現場に混乱を引き起こすこととなると考える。
 3 厚生労働省としては、要介護認定の方法の見直しに際し、利用者等に不安が生じないようにすることが重要であると考えており、この経過措置に加え、今後とも、今回の要介護認定方法の見直しに際し、利用者に対する丁寧な説明や認定調査員に対する研修等について万全を期してまいりたい。」
としている。

そうであるならば、あえて新認定方式でやる必要はない。また、凍結といった方針変更は、利用者に迷惑をおかけし、現場に混乱がおきると回答しているが、そうであるならば、あえて新認定方式でやる必要はないし、新たな研修の必要もない。これこそ無駄で浪費である。「新認定方式」を今から中止・凍結してもわずかな手直しで済むことになる。
 厚生労働省のみなさん。
新認定基準の「中止・凍結」をすることが、混乱を回避する判断であり、利用者・現場の声であることを知るべきである。(中村)

障害 報酬改定案に対して怒りをパブリックコメントにこめて送りつけよう。

今回の改定案は関係者の期待を、またしても裏切ったものです。

  • 求められているのは、加算でなく基本部分の大幅アップです。
  • 短期入所では、特に大阪の特徴である単独型(通所施設などが行う短期入所)は存続の危機です。
    怒りを込めて厚生労労働省にパブリックコメントを送りましょう。 File not found: "s49508048502.pdf" at page "直言"[添付]
      File not found: "異議2.JPG" at page "直言"[添付]
    以下のコメントも参考にしてください。
    大阪の関係者から寄せられたコメントを紹介します。

               2009年度福祉サービス費の報酬改定案に対するコメント
     厚生労働省は、先の新年度予算案の提案に当たって、1.良質な人材の確保 2.サービス提供事業者の経営基盤の安定 3.サービスの質の向上 4.地域生活の基盤の充実5.中山間地域等への配慮 6.新体系への移行の促進等を報酬改定の見直しの視点として、総額5.1%の増額を示すと共に、報酬算定構造の見直しを行なうとしていた。
     また、2009年2月20日、この基本的考え方に基づき、「平成21年度障害福祉サービス報酬改定のための関係告示の改正について」を告示し、そのパブリックコメントを募集している。
     障害者自立支援法の施行移行、当該法制化で、利用者負担の増額や報酬の日割り制度や新事業体系の中で、大きな問題が指摘されてきた。
     具体的には、利用者のサービス抑制が進められて事と共に事業体にとっても、大きな収入減の中で、事業危機が深刻化し、職員の非常勤化や実務作業の増大などの労働条件の悪化が起こり、今や福祉事業で人材が確保できない状況が顕在化している。
     こうした中で、これまで厚生労働省は、激変緩和措置などを引きながら対応を図ったとされているが、結果として新規事業への移行には歯止めがかかったままとなっている。
     あわせて、人材対策として打ち出された2008年度第一次補正予算での対応は、未経験福祉労働者の雇用助成や第二次補正予算案における対策として打ち出された新事業移行促進事業・事務処理安定化支援事業・就労系事業利用に向けたアセスメント実施連携事業・潜在的有資格者等養成支援事業・複数事業所連携事業・職場体験事業・進路選択学生等支援事業等についても、いずれも付け焼刃な助成であることに加え、人材確保については、雇用対策としての色彩が強く、決して支援の質を向上さる物となるとは考えられない。
     その点では、基本報酬の引上げによって、事業の安定化と共に、福祉人材の安定的確保、サービスの質の確保が期待されて来たところである。
     こうした視点から、今般の基本的な報酬改定の提案について、コメントを行なうものである。

    【基本的な問題点】
     第一に、今回の提案では、総額5.1%の報酬増額が基本として出されているが、この5.1%増額は、本来の障害福祉計画に基づく事業移行を想定したものとは考えられない。なぜなら、計画上の事業意向に伴う額は、自然増部分だけでも4%以上は確保されなければならないにもかかわらず、こうした額を含め、5.1%増額には、そもそも矛盾があるということである。
     第二に、今回の改定では、加算方式が大幅に増え、基礎単価の増額は一定の比率にとどめられている。これでは、基本的な人件費への反映どころか、事業の安定化にもつながらない。
     第三に、この加算方式についても、成功報酬・努力報酬の色合いが強く、努力して体制を整備すればこれを評価するとした加算の仕組みとなっている。この加算方式では、基本的な事業本体の安定化や支援の質の担保にはつながらない。こうした加算単価での評価額が、真に必要な人的体制を確保するには程遠いものとなっているなど、その単価設定の根拠が不明瞭である。
     第四に、各事業の人員配置が、加算制度となることで、事業における人員配置基準を不明瞭なものとする恐れがある。

    したがって、まず人材の安定的確保やサービスの質の向上のため、事業のベースとなる報酬こそさらに引き上げること、また人件費について、その報酬上の根拠を明確にしたものとし、福祉労働者の身分保障を確立すべきである。加えて、利用者負担問題を前提とせず、報酬の日割り制についても抜本的に見直すべきである。

     なお、以下個別事業について、幾つかの特徴的問題点を指摘しておく。
    【個別の問題点】
    (生活介護)
    ・個別障害程度区分報酬及び人員配置体制加算の二本立ての単価となっているが、こうした報酬額では、これまでの収入減を招く恐れがある。加えて、人員配置については、2.5:1以上の配置は、努力報酬となっており、常勤換算方で曖昧になった、人的配置基準が、さらに自由化され、配置基準そのものを否定しかねないものとなる恐れがある。
    ・障害程度に見合った、職員配置基準を明確にし、それに見合った基礎報酬方式を設定すべきである。

    (短期入所)
    ・他の日中系サービス利用者の報酬区分が新たに設けられたが、当該報酬は、実質的報酬の引き下げ(区分6:35%減)となり、こうした夜間方の事業として成り立たない状況が発生する。
    ・また、単独型加算の130単位もあまりに低い報酬であり、これらの事業所が閉鎖を行なわざるを得ない状況が発生する可能性がある。
    ・抜本的な報酬の再見直しが求められる。

    (ケアホーム)
    ・障害程度区分に応じ、人員配置を基礎とする報酬に変更されるが、この上げ幅では、実質の世話人の十分な配置は困難である。
    ・また、夜間体制・日中体制の確保については、加算方式となるが、こうした加算方式で実質的な人的配置を行なっていくことは困難である。
    ・また、地域生活移行個別支援特別加算は、こうした加算制度以外に、具体的な支援ネットワーク構築のための新たな施策の創設が必須であり、ホーム責任だけではこうした移行が確実に進むとは思えない。逆に、こうした加算制度の悪用の懸念すらある。
    ・基本的には、24時間を通じた職員配置及び夜勤体制がひける人件費を見込んだ報酬の抜本的見直しが求められる。

    (就労移行支援)
    ・基本報酬を引き下げ、加算にまわすとされているが、就労移行の専門性や質の確保が叫ばれている中、基本報酬の引き下げは、非現実的である。

    (就労継続B型)
    ・7.5:1を明記したことは評価できるが、その報酬額が変更なしなのは、他の事業と比較して不公平である。
    ・また10:1(481単位)から7.5:1(527単位)の変更のみでは、必要な人員の配置が可能とは考えられない。

    (グループホーム)
    ・職員配置を基本とした報酬だけでは、実質的支援の質の担保が不可能である。
    ・また、夜間防災体制加算だけで、夜間体制が保持できない事態に対する検討がさらに必要である。

    いずれにせよ、前提となる問題点を精査し、実質的な支援の質が担保され、福祉人材難を解消しなければ、福祉サービスそのものの危機的状況を招きかねない中で、改めて抜本的な報酬のあり方について再検討を行なう必要がある。

今こそ「社会福祉とは何か」を問う実践と運動を

 年明けに「大阪から社会福祉の源流と今を考察する」研究会が開催された。この研究会は、今年八月末に大阪で開催される「第15回社会福祉研究交流集会」に向け大阪の社会福祉の歴史から社会福祉の源流を学ぶとともに、今日の福祉実践・福祉運動の課題や今後の方向について検討された。
 仕事の関係で全日程参加はできなかったが、佛教大学の浜岡先生から、制度改変により営利事業としての社会サービスの提供や、貧困者をターゲットにした宿泊施設や仕事の提供を行う貧困ビジネス、介護・育児サービスを提供する各種ビジネスなど、「社会福祉」とよく似た状況が増えている中で、何が「社会福祉なのか」が非常に分かりにくくなってきている状況があり、今、「社会福祉とは何か」を問う意義は、社会福祉の現状を判断する物差しであるとともに、現状を変革するための規範でもあると提起された。特に、1995年の社会保障制度審議会勧告(95年勧告)と2000年の介護保険制度の導入など、新自由主義政策の下で、市場原理が導入され、本来の社会福祉が変質させられてきたこと。社会福祉を狭義の「福祉」に歪められ、生活全般を支える高齢者福祉が「介護」の名のもとに矮小化されてきた事実等、今後の福祉実践・福祉運動への手がかりとなる報告であった。
 ―― 経験者が希望を失い離職する問題
 福祉の人材不足が深刻化しているが、中でも経験者の離職問題がある。介護保険制度、障害者自立支援法等の導入により仕事が規格化、形骸化・無内容化する中で「働きがいや希望」を失い辞めていく職員。まさに、工場での「しごと」のように「労働」化し、介護現場は24時間稼動の工場やコンビニとの類似を強め、「しごと」の中身も契約事項で厳密に決められ、それを業務として遂行することが求められ、介護の「しごと」から喜びや楽しみを奪い、この「しごと」を忌避させることになっている。  
 今、自分たちが行っている仕事や活動は「社会福祉」なのか。今こそ、福祉・介護労働者にとって、自分たちが仕事や活動の内容を問い直し、またその前提としている規範や制度を問い直す必要がある。また、介護労働者にとっての「働きにくさ」とは。介護の仕事は工場でのモノ作りの延長のような「労働」なのか。
 ――「誰のために、何のための福祉か」
 国の制度改悪が高齢・障害・保育分野ですすんでいるが、福祉の対象、供給主体のあり方、特に応益負担、利用契約制度は継続・強行の姿勢である。
 障害者自立支援報の見直しでは、当事者からも応益負担は憲法違反との声が高まる中、厚生労働省は「すでに軽減措置を講じているので問題ない」日割計算も「当事者の選択が広まっているので見直しの必要はない」として見直しはされなかった。減額措置を講じていると言っても期限付きであり、応益負担撤回への欺瞞である。日割り計算も利用者の選択が広まる?例えば、身体障害で通所利用をしているが入浴設備などがないためにやむを得ず複数の施設利用を利用しているのが実態である。
 児童福祉法・保育制度の改正では、介護保険、自立支援法に続き、保育所にも契約制度を導入すると国は躍起である。
 新自由主義の競争原理によるアメリカ経済の破綻が明確になった。ところが、日本の社会福祉分野は、競争原理・規制緩和路線を貫こうとしている。保育の契約制度導入反対の声に、厚生労働省は「公的契約」と名前を変えた。この手法は「公的介護保険」と同様で、名を変えても私的契約そのものである。
 介護報酬改定も福祉・介護労働者の処遇改善(賃上げ)には程遠い内容であり、これでは何の改善策にもならない。人件費ではなく事業費にかかる加算・加算の改定、利用者はサービス量が限定され結果的には負担増になる。このような「焼け石に水」の見直しでは納得できない。
 制度開始時(2000年)に戻して、抜本的に検討すべきである。
 ――「ほんまもんの福祉」を問い直す
 企業から雇い止め等された労働者が、「派遣村」に集結し、国・厚生労働省を相手に、「今こそ政治が動かなくてどうする!」と大きな運動を展開し、現状を切り開いている。
 こうした運動に学びながら、歴史を通して現在の課題や展望を見出すこと。過去のとりくみを現在にどう継承させるのか。また、今日の生活・貧困問題は分野を超えた国民共通の課題となっている。その点では、現場の実態を正確に捉えること、福祉の思想や価値を社会的な働きかけによって定着させる実践、「ほんまもんの福祉」を問い直す実践と運動が社会福祉法人に問われている。

社会福祉施設経営者同友会 会長 中村公三

『福祉経営』NO.149号
(2009年2月10日)

去年の暮れから新年に思ったこと

あけましておめでとうございます。
私は今年61歳を迎えますが、この若さで既に“いじわるじじい”になっていて、最近障害者福祉関係の若い職員をつかまえてはやたら「あなたは、今ワーキングプアと呼ばれている人たちを具体的にたくさん知っていますか?」などという質問をします。今のところ皆さんは、「具体的にたくさんと言えば?」と首をかしげます。そこで“いじわるじじい”は勇んで「あなたの対象としている障害者のほとんどは、年収200万円はおろか150万円にも及ばない方がほとんどなのではないですか」と言います。そうすると皆さんはハッと障害者問題と貧困という言葉がつながり、少し論議になります。ちなみに、恥ずかしながら私もこの何年かの間に気がつき始めたわけなのですが、密かにまだ多くの人々がこの点について注目していないのではないかと思います。
事ほど左様に、私たちが障害者問題や障害者福祉を論議するにあたって、生存権や労働者としての権利、あるいは所得保障という視点、または貧困問題や今日の情勢が、障害者やその家族にどのような形で現れているのかという角度からの考察が乏しいのではないかと私はひねくれて思うのですが、他の福祉分野の皆さんはいかがですか?
21世紀に入り、わが国のみならず国際的にもそれまで進行してきたいわゆる格差の広がりが様々なかたちで表面化するようになり、その反映ともいえる「プレカリアート(社会矛盾によって経済的にも精神的にも労働条件的にも不安定な立場に立たされた貧困者)」という造語がイタリアで生まれ広がりました。この言葉がわが国に上陸したのはおそらく06年前後ではないかと思われますが、これは「ブレカリ」などとも略されたちまち若者を中心に多くの人々に知られるようになり、「プレカリ運動」という新しいスタイルの運動にもなります。旧年でいえば、この格差の広がりに加え国際的な不況が浮上し、新たな経済問題の広がりをもって今年一年を飲み込もうとしています。もちろん、国民の中には何がこの根源的な問題をもたらしたのかについて自覚する人々が増えていっているわけですが、更にこのままではひたひたと国民の中に貧困が広がっていくのは明らかです。
 私は、「いかなる時にも弱い立場に立たされている人々の側にあり、その訴えと心の声に学び、それが国や地方の制度にあろうがなかろうが、一生懸命頭と身体を動かして問題の解決を図ろうと必死になるのが社会福祉事業家の姿である」と思っています。そこで今年の私の課題は、事務所でソロバン相手に首をひねっているばかりではなく、知ったかぶりを戒め、感性を磨き、耳を澄まして社会矛盾の実態を知る努力を惜しまないことです。そして宗旨はちがいますが、「愛は語ることではなく行動すること」とマザーテレサがおっしゃったそうですが、今ほどこのことが大事な時はないと思っています。

いずみ野福祉会 板原克介

『福祉経営』NO.148号
(2009年1月10日)

保育の市場化は絶対許さない

11.24大集会に2800人

東京日比谷野外音楽堂で、『子どもを泣かせる市場化反対! 保育制度解体許11・24大集会 ― 保育は国・自治体の責任で』が開催され、全国から保育・学童保育関係者2,800名が参加しました。
同友会からは、14名が参加しましたが、私は保育懇話会から園長の決意表明をと依頼され、ドキドキで80名の大阪からの仲間と東京へ。
集会前に有楽町マリオン前で宣伝行動を行い、大阪の保育士は「大阪うまいもんの歌」も披露し、道行く人々に約1時間署名を訴えました。
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その後、日比谷野外音楽堂へ移動して大集会へ。しかし空模様はぐんぐん怪しくなり、1時の開始と同時にポツポツ雨が降り始めたため、集会終了を早め、決意のリレートークも2分に。5分で予定していたのでちょっと焦りながらも、『今回の制度改悪はこども不在で保育市場化の道を開くことに強い怒りを感じる。保育所は地域の子育ての砦で、保育条件や保育環境が国の基準として決められ、そこに公費による運営費が出て、安心して保育ができる。安定性や公共性が地域での高い評価が得られている。直接契約になると、保護者の所得により保育に格差が生まれ、保育料の滞納者は「退園」もある。現行の保育制度で保護者と一緒に子育てを続けたい。ぜひ500万署名をやり遂げましょう。』と決意表明しました。
千葉県船橋市のお母さんは「民間委託反対運動を保護者と地域・市民が手を取り合って続け、板橋市が委託予定の保育所名を発表できずにいる。保護者と保育士達が手と気持ちをつないで、公的保育とこどもの笑顔を守ろう」と元気いっぱい発言されました。
情勢報告では全保連の上野会長がこれまで取り組んできた国への請願が、06年から3年連続衆参両院で採択されたにもかかわらず、公的保育制度を解体する保育制度改革を進めていることを批判し、500万署名への呼びかけをされ、参加者全員で集会アピールを確認しました。
終了後は東京駅までパレード。雨足が強くなり、寒さも増しましたが、「こどもに格差を押し付けるな!」「保育制度を守ろう!」と熱くシュプレヒコールを繰り返し、通行人にもアピールしました。
大雨でびしょぬれになりましたが、会員の皆さんの熱いカンパで送り出していただき、こども達の未来と「今」を守るため、大人たちが一層絆を深め世論を動かさなければと再度決意しました。

浪速さくら保育園  和子

『福祉経営』NO.147 12月号

10・31大フォーラム

全国から6500人の怒りの声が…

        もうやめようよ!障害者自立支援法
              ―1からつくろう地域で暮らせる新たな法制を―
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肌寒い10月31日、東京の日比谷野外音楽堂に、6500人の障害家族、関係者が集まりました。
この怒りと熱気は、3年前の集会とまったく変わることなく全国の仲間からの抗議や実態が報告されました。
成立させた与党議員が来賓あいさつで、「軽減策を実施させてきた」、「報酬単価の見直しも要望している」と一生懸命見直しに力を入れていると主張してもその責任は免れないものです。参加者から、「欠陥法律になぜ賛成したのか」と怒りの声が相次ぎました。
年内には、見直し案が出される予定となっています。これから山場を向かえます。厚生労働省は、最小限の見直しに終始していると言われています。
応益負担の廃止を求める一斉訴訟が同じ31日に提訴されました。29人の障害者が「応益負担は違憲」として立ち上がっています。応益負担の廃止を求める国会への運動とともに司法への訴訟運動により国民的な世論を高めていくことが今求められています。

障害者生活支援センターひびき 高 井 博 之

『福祉経営』NO.146 11月号

利用者負担の増大につなげることなく介護保障充実の仕組みを!

21・老福連(21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会)は8月より全国老人ホーム施設長(特別養護老人ホームおよび養護老人ホームなど)にアンケートを行い、その結果を速報版としてまとめ、9月29日に記者会見と厚労省等との懇談をしました。
アンケートは6911施設に発送し、回収は1705通と、約4分の1の施設から回答があり、大きな反響を呼ぶものでした。
アンケート結果から見えてくるのは、多くの施設が人材確保の課題で問題を抱えており、人が集まらないことによるいわゆる「人材倒産」が懸念されていること。2度にわたる介護保険の改定の中で介護報酬が削減されつづけ、満足な給与を保障できないという多くの嘆きです。
また、21老福連の主張する「応能負担に改めるべき」には70%近くの施設長が回答し、「保険サービスだけでは高齢者の生活を支えることはできず、行政責任で行う『福祉』施策の拡充を優先して進めること」についても86%が賛成し、介護保険は老人福祉施策の一部であって、決してそのものではないという声も多くよせられました。
介護保険は「介護の社会化」を理念に立ち上げましたが、今は「制度の持続可能性」という観点から、サービスの抑制や報酬のカットが続けて行われています。
福田首相の突然の辞任で麻生内閣が誕生しましたが、厚生労働大臣には社会保障費の削減をすすめ、保育の直接契約入所に踏み出した舛添要一氏が再び就任しました。
近く国会解散・総選挙が行われます。現場での矛盾を多くの人に知らせ、公的福祉の拡充につなげていくチャンスにしたいものです。

こばと会  正森克也

『福祉経営』NO.145 10月号

障害者自立支援法 見直しの視点  

精神関係施設も含め、現行の療養介護、生活介護などの通所事業については従来の第1種社会福祉事業にしてください。  

               自立支援法の問題点を新たな切口で告す。 
  • 障害者自立支援法施行により、障害分野は施設入所支援以外の事業は、すべて第2種社会福祉事業とされた。
  • 第2種社会福祉事業となったことについて
    従来、第1種社会福祉事業であった通所施設が、第2種社会福祉事業にされたということは、入所施設以外の施設は、すべてデイサービス事業と同等の位置づけになったということであり、通所施設については「施設」概念はなくなり、日中「事業」とされた。
    第1種社会福祉事業は、「公共性の高い事業であって、対象者の人格、尊厳に重大な関心をもつ事業」とされ、ゆえに社会福祉施設は「経営の適正を欠くことがあれば、人権の擁護といううえから非常に重大な公共の責任がある問題なので、その確実公正な運営を確保することにより・・・」とされているが、第2種事業になったことで、「対象者の人格、尊厳にかかる影響が少ない事業」であり、「公共性も高くない」事業とされ、「経営の安定による対象者保護の必要は低い事業」、と位置づけられたのである。
    よって、この事業経営の主体は社会福祉法人に限定することなく、営利法人を含む全ての法人が制限なく参入できるようになり、施設基準等の法的規制も大きく緩和された。
    また、経営面においても、デイサービス事業と同等の事業とされたことで、日額制が導入され、事業経営の安定性は大きく揺らいでいる。そして、その事が職員の労働条件と人材確保に大きく影響している。
    このように、障害者自立支援法によって、事業経営が困難になっていることの基本の問題は、第2種社会福祉事業になったことに起因している。更に、第2種事業になったことにより起こり得る今後の事態に対し、危惧を感じるものである。
  • 障害者分野が守るべき課題
    障害者分野への多様な事業主体の参入の全てを否定することはできないが、障害者分野には営利サービスの市場でなく、国及び地方公共団体、または社会福祉法人が、対象者の人格、尊厳に責任をもって支援すべき領域があると考える。
    いわゆる採算性の見込めない人(障害程度区分の単価に見合わない支援内容を必要
    とする人)など、営利事業体の利用対象になるとは考えられない。
    社会福祉法人は、一定の法的規制を受けつつ、事業の必要性、健全性、安定性、継
    続性により対象者の尊厳を守る任務がある。
    特に、第1種社会福祉事業の性格に実態を照らしたとき、療養介護事業、生活介護事業などの通所事業は、市場に投げ出してはならない領域であると考えるものである。

    2008年10月7日

    福)わかくさHPより nisiyama

橋下知事さんへ(来年度予算に向けて)  

大阪府授産事業振興センターをなくさないでください。  

(==福祉おおさか==大阪府社会福祉協議会広報誌より)

  • ある小さな作業所で
    そこは、十五人程度の障害者の人が通って陶芸作業をしていた。みんな楽しそうだ。 
     機械ろくろでちゃわんの成型作業をしているA さんの姿は自信に満ちている。一見陶芸職人みたいだ。
    一方で大きな悩みがあった。作業場は商品在庫の山だ。
    売れなくても作り続けるから在庫はたまる。普通に考えると作らなければいいのだが、Aさんから機械ろくろの仕事とりあげることは、生きるほこりまで奪うことにならないかと職員の苦悩はつづく。
  • 振興センターが欲しい
    売れる商品を作る技術的支援や販売の機会が欲しい。多くの作業所の共通した願いだった。
    大阪府は、こうした声に応え、平成5年には、ふれあいたかつき(福祉の店)。平成10年に授産事業振興センターを立ち上げた。
    ナイスハートバザール(授産製品共同販売会)の開催。技術指導者の派遣事業。遊戯業組合と連携した商品開発。研修会など大阪府下の作業所、授産施設のモノづくりを下支えしている。
  • 廃止ではなく機能強化を
    しかし、橋下知事の評価は厳しい。今年度は、とりあえず運営委託費10%削減で落ち着いたが、来年度は廃止とされている。今、工賃のアップは大きな課題だ。他府県との単純比較は危険だが、大阪の実績は全国の最低水準に位置している。
    時代にあわせて振興センターを改革、強化することが求められており廃止すべきではない。
    さらに、小規模な作業所を下支えし漢方薬のように、すぐに効果が表れない支援も忘れてはならない。

    2008年10月7日

    nisiyama

あらためて、いま何故、「蟹工船」を若者は読むのか

ベストセラー書籍「蟹工船」。

1929年に発行された書籍であるが、今、電車内の広告等でも見かけ、多くの若者に読まれている。
著者の小林多喜二は、当時の特高警察により虐殺されて75年になる。
今日、ワーキングプアと呼ばれる人たち(多くが若者)が、自分の生活・現状とダブらせ、共感を持って読まれているという。
小生も、遅れまいと先日書棚から出し読んだ。
70数年前の時代と現在、働くものの環境が類似した実態にあることが理解できる。そして、そうした現状に「諦めないで闘う姿」、「その人間像」にあらためて感動した。
最近、書店には「蟹工船」の並びに「労働法」に関する本が置かれている。蟹工船を読んで、自身の働き方や解決方向(団結・連帯・権利・闘い等々)を考える人たちが増えてきているのだと思える。
ワーキングプア、貧困格差の拡大、低賃金で長時間労働・・・蟹工船と同じような実態。

※浅尾大輔氏(作家・雑誌「ロスジェネ」編集委員)は、現在のワーキングプアやフリーターでいる多くの若者たちについて、「頑張れといわないでほしい。頑張らないからフリーターなのではない。努力しないから派遣なんじゃない。今の社会が若者たちにそんな働き方を強制しているのです」と、語られている。
現実・実態とその経過・理由を正しく捉え、あるべき方向を考える。
「何で? どうして? 自分ならどうする?」・・・この視点が大事である。

社会福祉職場も同様である。
2007年度の厚生労働省調査で、男性の介護職員(勤続4.9年)の平均月額賃金は22万5900円で、全産業平均の37万2400円(同13.3年)の6割にとどまっている。また、離職率も全産業平均16.2%に対し、介護職は21.6%と高い。また、訪問介護事業の中心であるホームヘルパー(登録型)の月額賃金は平均10万円未満という実態である。
人の生活を支える仕事に、競争原理・市場主義が導入された結果が、今の社会福祉現場の人材難を生んでいる。
この現状の打開策は、「諦めないで闘う」「福祉労働者としての誇り」を持ち続けること。単なる攻撃よりも理解と共感を求め、共有し、解決の方策を具体化する。「蟹工船」から学んだことである。

今、各地域で、映画「蟹工船」(1953年の作品)が上映されている。書籍と映画で大いに学ぶことが大切である。
実りの秋・・・学び、力を蓄える秋に。

2008年9月13日

中村公三

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